2021 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病進行の細菌・分子間ダイナミクス制御に基づく歯周病重症化予測診断法の開発
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20H03864
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 千春 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (00755358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 眞里子 大阪大学, 蛋白質研究所, 教授 (10342833)
三木 康史 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (10598395)
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20598396)
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯周病進行経路 / 数理モデル / 重症化予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度は以下の(1)から(5)の研究を遂行した。 1) RNAシークエンス解析および16s rRNAシークエンス解析の結果より同定された歯周病重症化の鍵となる因子及びそれらの数値情報を用いて歯周病進行の数理モデルを構築した。2) 構築した数理モデルをシミュレーション解析ソフトBioMASSを用いてシミュレーション解析し、数理モデルのパラメータ推定を実施した。さらに、得られたパラメータ値とRNAシークエンス解析の遺伝子発現量を用いて、各遺伝子発現の動態および歯槽骨の吸収量を予測した。その結果、シミュレーション解析による予測結果と歯周病誘導マウスにおける遺伝子発現量の実測結果が近似していることが確認できた。3)構築した数理モデルの感度解析を行い、歯周病の重症化が、グラム陰性菌とケモカインの発現量によって制御されることを明らかにした。4) 3)で同定したケモカインのノックアウトマウスを交配、繁殖して次年度に行う動物実験の準備を整えた。5) 歯周病患者のプラークと滲出液を採取し、プラークのマイクロバイオーム解析および滲出液中のケモカインの含有量をELISAにて測定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病進行の数理モデルを構築することに成功した。さらに、構築した数理モデルが実測値と近似していることが確認でき、構築した数理モデルの有用性を証明することができた。さらに、数理モデルの解析より、歯周病重症化の病態に関わる因子を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は下記の研究を推進する。 1) 2021年度の研究成果より、歯周病の重症化を制御する因子としてグラム陰性細菌およびケモカインを同定した。これを踏まえ、2022年度は、これらの因子を抑制した際に、歯周病の進行がどのような影響を受けるのかを抗生剤や昨年度に準備した遺伝子改変マウスを用いて検討する。 2) 歯周病の重症化における上記2つの因子の相乗効果の有無を歯周病誘導マウスを用いたin vivo実験系で検討する。 3) 臨床検体の解析結果を集積することにより、ヒトの歯周病進行を表す数理モデルを構築するための基盤を築く。すなわち、歯周病患者から回収したプラークと滲出液のサンプルを用いて、ヒトにおける歯周病原性グラム陰性菌の占める割合、滲出液中のケモカインの含有量をマイクロバイオーム解析及びELISAにてそれぞれ検討する。
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Research Products
(4 results)