2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of smart-bioactive materials beneficial for a paradigm shift in dental treatment
Project/Area Number |
20H03871
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
今里 聡 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (80243244)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 晴朗 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (50736246)
岩崎 泰彦 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (90280990)
壷井 莉理子 大阪大学, 歯学研究科, 特任助教(常勤) (20827430)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 歯学 / 歯科材料学 / 生体材料学 / スマート・マテリアル / ガラス |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、まず、異なるpH条件下において溶解性およびイオン徐放性の異なる2種の環境応答型ガラスを作製した。酸性条件で抗菌成分であるZnを徐放するガラスとして、Zn、Na、Ca、Fを含むケイ酸塩系ガラスを試作し、中性pHにおいてGaを徐放するガラスとして、Ga、Ca、F等を含むケイ酸塩系ガラスを試作した。各ガラスを平均粒径約12μmに粉砕した後、蛍光エックス線分析(XRF)により組成を解析した。また、各ガラス粒子をpH3.5~7.5に調整した緩衝液に24時間浸漬後、溶解率および溶出イオン濃度を測定した。その結果、Zn含有試作ガラスについては、異なるpH条件においてガラスの溶解性やZnイオン溶出性に顕著な差が認められなかった。そこで、Caの代わりにLaを添加したZn含有ケイ酸塩系ガラスを新たに試作したところ、酸性条件での溶解性およびZnイオン溶出性の高いガラスの作製に成功した。一方、ケイ酸塩系のGa含有試作ガラスについては、中性pHでの溶解性が低く、口腔細菌に対する有効濃度以上のGaの溶出が認められなかった。そこで、ケイ酸塩系からリン酸塩系に組成を変更したところ、中性pHでの溶解性およびGaイオン溶出性の高いGa徐放用リン酸塩系ガラスの作製に成功した。 つづいて、病態応答型ガラスとして、抗炎症作用を示すLiまたは硬組織形成を誘導するSrを含むリン酸塩系ガラスを作製し、平均粒径約12μmになるように粉砕後、各ガラスの組成をXRFにより解析した。作製した各ガラス粒子を、蒸留水、酢酸緩衝液、または疑似体液に24時間~28日間浸漬して、各ガラスの溶解性を評価した。その結果、いずれの溶液中においてもLi含有ガラスは溶解速度が速く、Sr含有ガラスはLi含有ガラスに比べて緩徐に溶解することが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度の研究実施計画に則り、環境応答型および病態応答型の機能発現を目的とするガラスを試作し、各ガラス粒子の溶解性やイオン徐放性を評価した。前述のように、異なるpH条件で溶解性およびイオン徐放性の異なるZnまたはGaを含む2種のガラスと、溶解速度の異なるLiまたはSrを含む2種のガラスの作製に成功し、当初想定していた通りの結果が得られた。 以上のことから本研究の進捗は、おおむね順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に得られた結果に基づいて、各試作ガラスの細菌および細胞に対する作用を評価し、各ガラスの機能解析を実施する。
|
Research Products
(6 results)