2020 Fiscal Year Annual Research Report
バイオ3Dプリンティング技術を応用した歯周組織再生型インプラントの開発
Project/Area Number |
20H03874
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 将博 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (90549982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 功一 佐賀大学, 医学部, 教授 (50420609)
江草 宏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30379078)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 歯根膜 / インプラント / 生体模倣 / バイオ3Dプリンティング / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
骨結合型インプラントには,歯周組織の欠如に起因する臨床的問題点が指摘されている.その解決策の一つとして,生体外でインプラント周囲へ歯周組織を誘導させた歯周組織再生型インプラントを欠損顎堤へ埋植する再生補綴歯科治療戦略が考えられる.近年,標的組織の三次元的構造と機能をもつ組織体を創出するバイオ3Dプリンティング技術が再生医療分野で注目を浴びている.研究代表者はこれまでに,歯根セメント質の理工学的性質を模倣して,歯根疑似環境を提供することで,歯根膜細胞の分化をセメント芽細胞へと導き,歯周組織の誘導を可能にするチタンナノ表面改質法の開発に取り組んできた.以上を背景に,本研究は,バイオ3Dプリンティング技術とチタンナノ表面改質技術とを組み合わせて,「歯周組織再生型インプラント治療」の確立に向けた「生体外でインプラント周囲に歯周組織体を三次元的に誘導する組織工学基盤技術」の構築を目的とする. 研究計画の初年度である2020年度では、Kensanメソッドを用いて,三次元歯根膜細胞構造体を作製するとともに、メカニカルストレスを用いた細胞構造体の自己組織化誘導を試みた. ラット上顎臼歯から初代継代歯根膜細胞を分離し,増殖培地中で培養し、ラット脂肪幹細胞構造体プロトコールを参考に,歯根膜細胞凝集塊の作製に成功した.作製した細胞凝集塊をKensanメソッドを用いて積層し、歯根膜細胞構造体を作製した。 さらに、メカニカルストレスが細胞構造体の自己組織化に与える影響の予備実験として、代表的なメカニカルストレスに反応する細胞である骨細胞をコラーゲンゲル中に包埋した三次元培養にて、静水圧培養装置による繰り返し荷重下での培養条件の検討を行った。骨細胞のSostとOpgの発現プロファイルの変化を分析した結果、咬合圧を模倣した周波数と印可圧、印可時間および印可回数の最適化を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯根膜細胞構造体の作製は当初の予定通りに問題なく進行している。静水圧培養装置の納品の遅れから、実験計画の進行に遅延が生じていたが、納品後に直ちに骨細胞による咬合圧を模倣した荷重条件の最適化を達成できたことから、遅れを取り戻し、当初の計画通りに進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度では作製した歯根膜細胞構造体をラット上顎骨モデルに埋植し、歯根膜細胞構造体の口腔内移植モデルの確立を目指すとともに、本研究計画のベースラインデータとなる歯根膜細胞構造体の骨組織中での生体反応を組織学的に解析する。
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