2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multifunctional viscoelastic soft denture liners with controlled release ability of biologically active agent and photocatalyst function using nanocomposites
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20H03880
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
村田 比呂司 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (40229993)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
小椎尾 謙 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (20346935)
吉田 和弘 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (70530418)
高瀬 一馬 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (90736836)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 軟質リライン材 / 歯科補綴 / 粘弾性 / 光触媒 / 生理活性物質 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢社会を迎え、以前よりも義歯補綴に不利な顎堤や菲薄な粘膜を有する患者が増え、義歯による疼痛を訴える患者が増えており、その有効な治療法として軟質リライン材が広く応用され、さらに近年、軟質リラインが保険収載された。しかしながら、耐久性や汚れの観点より、いまだ理想的な軟質リライン材は開発されていない。そこで本研究では、粘膜創傷治癒促進機能、セルフクリーニング機能、および高い緩圧効果と耐久性を有する軟質リライン材を開発することを目指す。 本年度は主として光重合型アクリル系軟質リライン材のモノマーの種類と可塑剤(アセチルクエン酸トリブチル)の含有量、および粉液比(P/L = 1.0、1.2)と、硬化進行中の動的粘弾性と硬化時間について検討した。使用した粉末は予備実験の結果、poly(ethyl methacrylate/butyl methacrylate)とした。可塑剤の含有量が増加するほど、硬化時間は指数関数的に増加する傾向であった。また粉液比1.2の方が1.0よりも硬化時間は短くなる傾向であった。モノマーについては、そのモル体積が本材の硬化速度に密接に関係していることが推察された。 さらに硬化時間の観点より使用可能な組成を選択し、光重合(硬化)後の動的粘弾性及び耐久性(サーマルサイクル付加)に関する測定を開始した。硬化後の動的粘弾性についてはデータを取得中であるが、現段階では可塑剤の含有量(アセチルクエン酸トリブチル)が多く、また粉液比が低いほど、貯蔵弾性率および損失弾性率が低い傾向と推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度は主として光重合型アクリル系軟質リライン材の組成(モノマーの種類、可塑剤の含有量等)と硬化進行中の動的粘弾性(硬化時間)の測定、光重合後の動的粘弾性とその耐久性の測定、及び溶出成分の測定を行う予定であった。硬化進行中の動的粘弾性測定については、順調に進行した。また光重合後の動的粘弾性とその耐久性については、実験条件の確立を行い、測定を開始し、おおむね順調である。しかしながら、溶出成分の計測については、ガスクロマトグラフ質量分析計に関する実験装置構成品の納期遅延等により、予定よりも進行が遅れた。 令和3年度はガスクロマトグラフ質量分析計による実験条件を検討した。光重合後の動的粘弾性とその耐久性については、令和2年度より継続して実施し、ほぼ測定を終了した。令和3年度は主として本測定を中心に実験を実施した。またフッ素系モノマーの添加の効果については、まず硬化挙動に及ぼす影響に関する予備実験を行い、測定する組成の組み合わせを決定した。表面性状の計測については、分析手法や実験条件を検討した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は光重合型アクリル系軟質リライン材の光重合後の動的粘弾性とその耐久性の測定を開始したところではあるが、予定よりも若干、測定が遅れているため、令和3年度には遅れを取り戻すため、主として動的粘弾性とその耐久性の測定を実施した。また溶出成分の計測については、令和3年度に測定条件等を検討した。 本軟質リライン材の基本的な組成は決定したが、令和4年度はさらに耐久性を向上させるため、この基本的成分にフッ素系モノマーを添加して、硬化挙動および動的粘弾性を評価する予定である。当初はフッ素系モノマーを主成分とする予定であったが、操作性の観点より通常のメタクリレートを主成分とし、フッ素系モノマーを添加して、耐久性を向上させる方針とした。また令和4年度は、本材の成分の溶出量、抗菌剤および生理活性物質の添加の効果について評価する予定である。
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Remarks |
新聞報道:村田比呂司、西村正宏. 失った噛む喜びを取り戻し、口腔機能を回復するために. 朝日新聞(p9、2020年3月15日).
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