2021 Fiscal Year Annual Research Report
高度情報技術が実装された臨床現場における患者-医療者の意思決定プロセスと役割
Project/Area Number |
20H03922
|
Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
尾藤 誠司 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 室長 (60373437)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 真実 帝京平成大学, 薬学部, 教授 (60848133)
浅井 篤 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80283612)
藤田 卓仙 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任准教授 (80627646)
松村 真司 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 医師 (90323542)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 臨床意思決定 / 人工知能 / 医療コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
1 新規情報技術によってもたらされる患者へのインフォーメーションが、患者自身の「理解」「認識」「価値」「規範・価値観」に対して直接あるいは間接的に作用する仕組みに関する理論分析およびInDepth インタビューによる質的分析:020年度には実地調査をほぼ完了した。2021年度は分析と理論統合を中心とした作業を行った。特に、患者の葛藤や、担当医への信頼に関するモデル化と、それらが意思決定コミュニケーションのかたちや意思決定プロセスの進行に与える影響について明示化した。
2 AI実装時代における意思決定コミュニケーションのあり方、および医療者の役割について、フォーカスグループインタビューによる調査履歴テキストを分析し、概念化を行った。その中で、意思決定に与える根拠について、客観的に取り扱うことができる決断の根拠と、関係性の中で立ち現れる根拠の取り扱いについての分析を行った。現在論文出版準備中の状態にある。
3 情報時代における臨床意思決定のモデル化に関するタスク・ワーキング:1および2の結果を踏まえ、近未来の新規情報技術が実装された診療現場において、意思決定のありかたや、意思決定支援の方法、医師等医療者の職責や役割はどのようなものであるべきか、その支援者としての専門家の役割についてタスク・ワーキングを通じて理論化を開始した。タスクワーキングは、その都度テーマとゴールを設定し、モデル化に向けて部分と全体を行き来しながら行っている。現在分析途中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本報告書を作成している現時点(2023年5月)の時点においては、2023年3月に完遂する予定であった状況からの遅延が発生している。理由は、2022年秋に登場したChatGPTに代表される生成系AIの登場によって、当初想定していた人工知能の機能よりも拡張された機能を対象に人工知能をとらえなおす必要が発生したためである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度までの研究成果を基に、近未来の診療現場における「AI assisted shared decision making」の概念化とプロセスの明示を行うとともに、そのプロセスにおいての患者、患者関係者、医療専門家、情報端末の役割について明示化する。その上で、患者からみた「AI assisted shared decision making」に関する懸念事項や課題を明らかにする。今までの研究成果等より、近未来社会における臨床上の意思決定の変遷は、旧来の「インフォームド・コンセント」から現在の「Shared Decision Making」へと変化し、さらに今後「AI assisted shared decision making」へと移行していくと考えられる。その変遷を前提に、最終年度においては、医療現場における「AI assisted shared decisionmaking」の在り方を提示し、その具体的プロセスや意思決定に関与留守関係者 の役割等について明示する。さらには、そのような現場で想定される、社会的・法的・倫理的イシュー(ELSI)についての整理を行う。各論的には研究最終年度として以下の事業を行う 1.将来の「AI assisted shared decision making」を想定した上での市民調査の実施 2.「AI assisted shared decision making」のモデル化のためのタスク・グループ・ワークの継続 3.「AI assisted shared decision making」の具体的プロセスと、情報端末を含む意思決定関与者の役割の明示
|
Research Products
(12 results)