2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidating pathogenesis of Indium Lung by High-resolution CT
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20H03931
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
菅沼 成文 高知大学, 教育研究部医療学系連携医学部門, 教授 (50313747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 真規子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70384906)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | インジウム肺 / 肺疾患 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
2001年にインジウム肺を疑われる死亡例が初めて報告された。インジウム肺は、初期に肺胞蛋白症に類似した症状から繊維化を伴う間質性肺炎及び肺気腫への移行と考えられているが、その発症機序については未解明な部分も多い。我々はインジウム肺発症に酸化ストレスが関与するという仮説を立て、インジウム肺マウスモデルを用いて検証することにした。インジウム肺マウスモデルは、これまでに曝露チャンバーを使った吸入暴露モデルと気管内投与モデルが報告されているが、一般的な研究室で実験可能で呼吸経路により近い点鼻投与によるインジウム肺モデルマウスを作成し、酸化ストレスとインジウム肺の関連を検討した。 酸化インジウム懸濁液10mg/kg、5mg/kg、2.5 mg/kg、1.25 mg/kg及びcontrol群0 mg/kgを週1回8週にわたり点鼻投与を行い、インジウム肺モデルマウスを作成した。投与後、イソフルランによる安楽死を行い、肺胞洗浄液(BALF)、腋窩血漿、肺組織を採取した。BALFによる細胞数の計測、メイギムザ染色による形態観察、SP-Dの測定、血漿から酸化ストレスマーカー(8-OHdG、ニトロチロシン)のELISA測定、肺組織切片のHE染色による形態観察を行った。 その結果、投与群においてBALFの白濁化、全細胞数の増加、泡沫状マクロファージの増加、好酸性の無構造物質、肺胞サーファクタント(SP-D)の増加が認められた。肺切片の観察では、投与群においてタンパク質の漏出と局所的な肺胞壁障害を確認した。一方で血漿中の酸化ストレスマーカーは全ての検体で検出限界以下であった。 以上の結果から、インジウム肺発症に酸化ストレスが関与するという仮説を裏付ける結果は得られなかったものの、点鼻投与によるインジウム肺モデルマウスにおいてもインジウム肺の初期特徴である肺胞蛋白症の病態を観察することができたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初立てた仮説を支持する結果は得られなかったものの、動物モデルの実験が終了し、今までにない新たな投与実験系を樹立することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
インジウム曝露者のCT画像の読影結果を整理するとともに、インジウム肺動物モデルの結果を元にメカニズムについての考察を深め、成果発表を進める。
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