2022 Fiscal Year Annual Research Report
移動情報を利用したインフルエンザ等の流行因子の解明-数理・統計・疫学モデル
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20H03940
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
水本 憲治 京都大学, 総合生存学館, 准教授 (90730218)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 感染症疫学 / 数理モデル / 統計モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インフルエンザ及びRSウイルス感染症に対し、日本独自の感染症サーベイランス情報・気候データ等の他、環境要因・社会因子・移動情報等も加味して、疫学・統計・数理モデルの活用及び時空間ダイナミクスのモデル化を通じて、都道府県別・シーズン別に、流行(流行入り/ピーク/期間)に影響を与える因子を解明すると共に、ヒト移動(航空搭乗者数等)が感染伝搬/流行に寄与する影響を明らかにし、一連の過程を通して、ヒト移動を対象とした公衆衛生的対策の効果の提示等、感染症予防対策に関する政策意思決定に資する根拠を数値として提供し、被害規模の漸減に大きく貢献することである。新型コロナウイルス感染症流行により、2020年以降、感染症流行動態・ヒトの移動の大幅な変化がみられ、本研究計画に影響を与えている。新型コロナウイルス感染症を対象に、解析を実施し、10編以上を国際学術誌に報告してきた。 主なものとして、統計モデルを利用し、ダイヤモンドプリセンス号に乗船していた乗客・乗組員に対しての新型コロナウイルス感染の検査結果データを用いて、無症状患者割合の推定を行い、潜伏期間の中央値を7.5日とした場合、17.9%と推定した。 また、2020年1月-2月の、中国における新型コロナウイルス感染症による患者数と死亡者数のデータを用い、新型コロナウイルス感染症罹患時の死亡リスク推定を行い、時間遅れ調整後の死亡リスク武漢市においては12%に達する一方で、他の地域では概ね1%程度と推定し、報告した。どちらも感染症領域のトップ10以内のジャーナルにアクセプトされ、引用数は、それぞれ3081, 260(Google Scholar, 2024/5/1)に至っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の対象となっているインフルエンザ、RSウイルス感染症と同じく呼吸器感染症である新型コロナウイルス感染症流行の拡大の影響、それに伴い、個人・集団レベルで様々な感染症対策が実施されたことで、両感染症の流行動態が大きく変化してしまい、解析に時間がかかるようになった。 また、航空移動情報を利用した感染症流行解析については、コロナ流行を契機にして、正解中で研究が進んだことから、他の研究計画を再考する必要が生じたため。
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Strategy for Future Research Activity |
時間空間的に、対象を慎重に選定して、解析を進める。具体的には、新型コロナウイルス感染症流行前や、全国レベルから県レベルに対象地域を変更する。加えて、施設内での感染にも着目する。
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