2020 Fiscal Year Annual Research Report
アドバンストスキンケア開発を目指した創閉鎖後の脆弱な皮膚環境と褥瘡再発との関連
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20H03960
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
須釜 淳子 藤田医科大学, 社会実装看護創成研究センター, 教授 (00203307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大貝 和裕 金沢大学, AIホスピタル・マクロシグナルダイナミクス研究開発センター(保), 准教授 (40706983)
岡本 成史 金沢大学, 新学術創成研究機構, 教授 (50311759)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 褥瘡再発 / 皮膚生理機能 / 細菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
われわれはこれまでに褥瘡治癒部における褥瘡再発率が高いことを報告し、その再発予防が臨床において喫緊の課題であることを訴えてきた。しかし、褥瘡治癒部において、創傷被覆材の使用を含めた褥瘡再発予防ケアをどの時期まで行えば良いかについては、十分に検証をしてこなかった。2021年度はコロナ感染症拡大の観点から、臨床調査を行わず、これまで追跡した研究対象者の分析を行った。研究目的は、褥瘡治癒の皮膚生理的機能と皮膚細菌叢の経時的変化を明らかにすることである。 褥瘡治癒部と健常部の皮膚角質水分量と皮膚細菌叢を2週間おきに6週間にわたり測定した。皮膚細菌叢はテープストリッピング法にて採取し、DNAを抽出し、シーケンス解析を行った。細菌叢の多様性を示すα多様性指数は、Shannon index, Phylogenetic diversityを用い相対的に評価した。角質水分量と皮膚細菌叢における相対値(治癒部/健常部)を分析に用いた。本研究は、金沢大学医学倫理審査委員会にて承認を得て実施した。 分析対象者は、褥瘡が治癒し、その後再発しなかった患者22名であった。すべての調査時期において、角質水分量とα多様性指数のいずれも有意差を認めなかった。経時的変化の傾向として、角質水分量は、4週間までは1に近づき、その後下降した。Shannon indexは、2週間後の調査までは上昇し、その後1に平行に推移し、 Phylogenetic diversityにおいては、調査終了時まで上昇していた。 以上から、褥瘡治癒の皮膚生理機能(角質水分量)は、治癒後4週間後に正常皮膚に近づき、皮膚細菌叢は治癒後2週間から正常皮膚の状態に近づくことが示唆された。したがって、少なくとも治癒後1カ月間は正常と異なり、この期間の局所の再発予防が必須であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染症拡大防止、ならびに研究者の職場異動のため、新たな臨床症例の追加できず、2021年度は過去のデータを用いた研究となった。このため「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
過去の調査の縦断解析から、褥瘡再発が特に必要な期間が治癒後1カ月と示唆された。この結果をもとに、今後は予防ケアについて症例研究に着手したい。
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Research Products
(1 results)