2021 Fiscal Year Annual Research Report
放射線防護リスクコミュニケーション現任教育モデルの検証
Project/Area Number |
20H04017
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松永 妃都美 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (60612017)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新地 浩一 佐賀大学, 医学部, 教授 (30404164)
柴山 薫 佐賀大学, 医学部, 助教 (70881431)
折田 真紀子 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 助教 (90737305)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 現任教育 / 放射線 / 保健師 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、原子力発電所地域に居住する住民を対象とした放射線防護リスクコミュニケーションを行う保健師に必要な知識と技術を明らかにすることを目的としている。 今年度は、原子力発電所立地周辺地域に居住する保護者の放射線健康リスク認知に関連する要因、および原子力防災の興味に関連する要因を検討した。その結果、主に以下の3点が明らかになった。 1.子ども用の安定ヨウ素剤事前配布を受け取った保護者には、住居から原発までの距離(5㎞圏内)、子どもが優先服用者であると理解していること、原子力防災の手引き(全戸配布)を読んだ経験、が独立して有意に関連していた。一方、安定ヨウ素剤の事前配布を受けたくない保護者の理由は、安定ヨウ素剤副作用への不安(40.2%)、安定ヨウ素剤の効果を信用できない(23.5%)、事前受取日に受け取れない(15.7%)、受取日を忘れてしまう(8.8%)であった。 2.原子力発電所から5-30km圏内に居住している保護者のうち、39.2%が原子力災害時の屋内退避は有効でないと考えていた。さらに33.7%が安定ヨウ素剤はすべての放射性物質に有効であると回答した。5-30km圏内の保護者の83.0%が安定ヨウ素剤の事前配布を希望していた一方で、71.8%の保護者が原子力災害の緊急時、子どもに安定ヨウ素剤を服用させることへの不安があると回答した。 3.本研究参加者において、子どもへの一般薬投与不安がある者が29.6%であった一方で、安定ヨウ素剤投与不安がある者は73.7%であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば昨年度は、安定ヨウ素剤の事前配布説明会の現状と課題を明らかにする予定であった。具体的には、玄海原発を管轄する佐賀県危機管理課の協力を得て、安定ヨウ素剤の事前配布および説明を行った経験者(薬剤師など)約10名(約5名ずつ)を対象とした集団面接を実施し「安定ヨウ素剤の事前配布の際、どのような質問をうけるのか?」「安定ヨウ素剤の事前配布を行う際の支援や説明のポイントはなにか?」などを明らかにする予定であった。しかし新型コロナウィルス感染症の影響により、集団面接調査の実施が困難だった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、安定ヨウ素剤の事前配布と説明を行った経験のある者を対象とした集団面接を個別面接に変更し、約5名を対象として「安定ヨウ素剤の事前配布の際、どのような質問をうけるのか?」「安定ヨウ素剤の事前配布を行う際の支援や説明のポイントはなにか?」を半構造化面接にて明らかにする。そしてこの成果を踏まえたうえで、保健師の放射線防護リスクコミュニケーションの現状と課題の明確化への取り組みを開始する。本課題は原子力発電所地域に勤務する保健師の放射線被ばくと健康影響の認知、防護の理解度を明らかにする。具体的には、佐賀県の保健福祉事務所、保健センター、地域包括支援センターに勤務する保健師約250名を対象とした質問紙調査を留置き法で実施する。そして主に以下を明らかにする。 ・保健師の放射線被ばくと健康影響の認知、防護の理解度に関連する要因はなにか? ・放射線被ばくや健康影響、防護について、どのような教育を重点的に行なえばよいか?
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Research Products
(6 results)