2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20H04059
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Research Institution | Fukuoka International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
光武 翼 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 講師 (00779712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 麻衣子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10720196)
岡 真一郎 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 助教 (30637880)
中薗 寿人 福岡国際医療福祉大学, 医療学部, 講師 (70814771)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ノイズ前庭電気刺激 / 身体制御反応 / 筋活動 / 関節運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
ノイズ前庭電気刺激(noisy galvanic vestibular stimulation; nGVS)は耳後部から電気刺激することで非線形の入力信号による確率共鳴現象を生じることが示唆されている.これによって,前庭神経核を刺激し,姿勢制御機能を改善させる可能性がある手法である.2020年度では機能的磁気共鳴画像法(functional magnetic resonance imaging; fMRI)を用いてnGVS時の脳血流動態を解析し,前庭皮質となる島周辺領域の活動性を認めた.2021年度では,三次元動作解析装置と表面筋電計を用いてnGVS時の身体反応を計測した.健常成人17名を対象とし,nGVS条件とsham刺激条件を無作為に行い,開眼,閉眼および固い床上,柔らかい床上での立位時の姿勢制御反応を評価した,その結果,nGVS時に足関節角速度が減少するとともに前脛骨筋の筋活動の減少が認められた.nGVSは前庭脊髄路を含む姿勢制御反射を賦活し,姿勢制御戦略に影響を及ぼす可能性がある. 一方,GVSと類似した刺激手法である経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation; tDCS)によるシステマティックレビュー及びメタアナリシスを実施した.研究内容は,tDCSと歩行練習を行った研究を複数の電子データベースを用いて検索した.適格基準を満たす9編の論文の中で6編を解析し,tDCSと歩行練習を同時に行った研究がtDCS後に歩行練習を行った研究と比較して歩行能力の向上が認められた. さらに,姿勢制御研究の一環として脳卒中患者に対するtrailing limb angle(TLA)を計測し,歩行時の体幹加速度パラメータの解析を行った.その結果,TLAは歩行時の身体動揺と関係し,TLAの増加が歩行安定性に影響する可能性が示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は当初予定していたようにノイズ前庭電気刺激(noisy galvanic vestibular stimulation; nGVS)が身体制御反応に及ぼす影響を計測した.しかし,コロナウイルスが蔓延している社会情勢の中,一定期間は研究自体が滞る時期もあり,実験自体を中断したこともあった.実施可能な研究を模索する中で,GVSと姿勢制御が関わる経頭蓋直流電気刺激(transcranial direct current stimulation; tDCS)と歩行能力に着目し,システマティックレビューを行った. nGVSと身体制御反応に関する研究は研究分担者とオンラインによる研究会議を行うことで,より理論に沿った研究デザインを構築した.参加者のリクルートに難渋したものの,本研究の進捗状況はデータ計測,解析,論文執筆が終了し,現在投稿している状態である.本来であれば,nGVSと身体制御反応に関する研究を2021年度までに終了する予定だったが,一時期,研究を遂行できない時期があったため若干遅れている.しかし,この状況の中で最大限の感染予防対策を行いながら作業を進めることができたため,取り戻すことができる範囲と認識している. また,2022年度行う予定にしているnGVSが前庭脊髄反射機能に及ぼす影響を明らかにするために,GVS時にヒラメ筋H反射を計測する実験の構築を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画として,ノイズ前庭電気刺激(noisy galvanic vestibular stimulation; nGVS)が前庭脊髄反射機能に及ぼす影響を検証するために,GVS時のヒラメ筋H反射を計測するための電気生理学的手法を確立するとともに,実験プロトコルを作成している.まずは,電気刺激装置とニューロパックを同期し,先行研究に基づいてヒラメ筋H反射とGVSの刺激強度や刺激タイミングを検証する.電気生理学的手法だけでなく,重心動揺計を用いて足圧中心の変動も計測することでパフォーマンスの評価も実施する予定である.また,2021年度で行ったnGVSは知覚閾値以下に設定していたが,周波数ではホワイトノイズとカラーノイズが混在していたため,ホワイトノイズに限定した介入効果を検証するのか検討の余地がある.一方,2021年度に経頭蓋刺激と動作練習を同時に行うことで相乗効果が得られたため,nGVSに加えて前庭順応を促通するトレーニングとの併用効果を検証していく.そのためには介入に関する再現性や妥当性も検討する必要があり,トレーニングを客観的に捉える必要がある. これらを考慮して,上半期には実験デザインを確立してプレデータ計測を行い,下半期には本データ計測を遂行する.コロナウイルス蔓延に伴い実験自体が滞らないように複数名の研究補助者に協力を依頼し,イレギュラーが生じた場合でも対処できる実験体制を築くことも実験を円滑に進めるために必要だと考えられる. これまでnGVSが脳活動,身体制御反応に及ぼす影響を検証しており,2022年度には電気生理学的手法を用いて姿勢制御反射機能を計測することで,nGVSが姿勢安定性に関する多角的研究の推進を図る.
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Research Products
(7 results)