2020 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト熱放散反応におけるTRPチャネルの役割解明 -熱中症予防法確立を目指して-
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20H04065
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 直人 筑波大学, 体育系, 助教 (00796451)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 達郎 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (60734522)
近藤 徳彦 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 教授 (70215458)
西保 岳 筑波大学, 体育系, 教授 (90237751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロダイアリシス / 熱中症 / TRP / 暑熱 / イオンチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
TRPA1チャネルの活性化は、in vivoでヒトの皮膚の血管拡張を引き起こす。しかし、この反応のメカニズムについては不明な点が多い。本年度は、TRPA1チャネルによる皮膚血管拡張に、一酸化窒素(NO)合成酵素(NOS)とCa2+依存性K+(KCa)チャネルが寄与し、シクロオキシゲナーゼ(COX)は関与しないという仮説のもと実験を行った。健康な若年成人9名を対象に、前腕部の皮膚血管コンダクタンス(CVC)を評価した。CVCは、皮内マイクロダイアリシスを施した以下の4部位で評価した:1)コントロール(98%プロピレングリコール+1.985%ジメチルスルホキシド+0.015%リンゲル液)、2)10mM L-NAME(非選択的NOS阻害剤)、3)10mM ketorolac(非選択的COX阻害剤)、4)50mM tetraethylammonium(非選択的KCaチャネル遮断剤)。TRPA1チャネル活性化薬であるシンナムアルデヒドは、用量依存的に各皮膚部位に投与した(2.9、8.8、26、80%、それぞれ30分以上投与)。8.8%以上のシンナムアルデヒドを投与すると、コントロール部位のCVCがベースラインから27.4%[5.3]増加した(P<0.05)。NOS阻害剤は、26%および80%のシンナムアルデヒド濃度で、CVCの増加を抑制した(いずれもP<0.05)。COX阻害剤およびKCaチャネル遮断剤は、いずれの濃度においても、シンナムアルデヒドによるCVCの上昇を抑制しなかった(いずれもP>0.05)。以上のことから,ヒト皮膚において,TRPA1チャネルの活性に伴う皮膚血管拡張には,COXおよびKCaチャネルは関与しないが,NOSが大きな役割を果たしていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナの影響で実験の開始が遅れたが、TRPA1チャネルによる皮膚血管拡張のメカニズム解明の実験を1つ終えることができた。ただ、TRPA1およびTRPM3チャネルの阻害薬決定には至らず、引き続き予備検討を重ねる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、TRPA1およびTRPM3チャネルの阻害薬決定の予備検討を進める。それがうまくいかない場合には、TRPV1チャネルや、TRPV3チャネルの活性薬および阻害薬選定の予備実験を行う予定である。TRPA1チャネルの活性薬は、JT010もしくはASP 7663を用いる。TRPA1チャネルの阻害薬は、AM 0902、AP 18もしくはHC 030031を用いる。TRPM3チャネルの活性薬はプレグネノロンもしくはCIM 0216を用い、阻害薬はプリミドン、オノネチン、イソサクラネチン、リクイリチゲニンもしくはヘスペレチンを用いる。 TRPV1チャネルの活性薬はカプサイシンを用い、阻害薬はカプサゼピン、AMG9810、AMG 21629、A 425619もしくはBCTCを用いる。TRPV3チャネルの活性薬、阻害薬については調査中である。
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Research Products
(3 results)