2020 Fiscal Year Annual Research Report
筋腱の力学的および代謝的特性を踏まえたトレーニング法およびメンテナンス法の開発
Project/Area Number |
20H04070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 啓太郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70323459)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 筋スティッフネス / 伸張ー短縮サイクル / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
(研究1)伸張速度がアクティブ筋スティッフネスに及ぼす影響:実際のスプリントやジャンプ中に近い角速度(最大で600deg/sまで)での角速度条件にて、収縮条件下での筋スティッフネス(アクティブ筋スティッフネス)を測定した。一般成人を対象にした本研究では、100から300 deg/sまでアクティブ筋スティッフネスは増加し、300 deg/sを超える角速度条件ではアクティブ筋スティッフネスが低下した。 (研究2)陸上短距離選手における高い伸張速度条件での筋および腱の力学的特性:日頃から素早い動作でのトレーニングを実践している陸上短距離選手を対象に、伸張速度の速い条件でのアクティブ筋スティッフネス、腱スティッフネスおよびヒステリシスを測定した。アクティブ筋スティッフネスは、100から300 deg/sまでは一般成人と差がみられなかったが、500および600 deg/s条件で短距離選手が有意に高い値を示した。一方、バリステイック条件での腱スティッフネスおよびヒステリシスには両群間で有意な差は認められなかった。 (研究3)指圧刺激と鍼刺激が腱の血液循環に及ぼす影響:我々の先行研究(Kubo et al 2011 IJSM)で、アキレス腱に鍼刺激を施すことにより、刺激側だけでなく反対側(特に刺激後の回復過程)においても腱血液循環が高まることが明らかになっている。その要因を探る目的で、腱に対する力学的負荷を課す指圧刺激による腱血液循環の変化について鍼刺激の場合と比較した。その結果、鍼刺激と同様の結果が指圧刺激においてもみられ、鍼刺激による腱血液循環は刺激中の力学的刺激(特に鍼を小刻みに動かす雀啄における刺激)が関与している可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで研究を実施してきたアクティブ筋スティッフネス(収縮条件下での筋スティッフネス)について、より実際のジャンプやスプリント中に近い角速度条件での定量が可能になり、実際のスポーツパフォーマンスに及ぼす筋特性の影響が検討可能になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは足底屈筋群を対象に研究を進めてきたが、実際のスポーツ競技(特に陸上競技)での応用を視野に入れて膝伸筋群でも同様の測定法を確立し、スポーツ現場で「バネ」と表現される事象の科学的解明に繋げていきたい。
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Research Products
(7 results)