2022 Fiscal Year Annual Research Report
ノイズ電気刺激を用いた感覚入力変調による歩行能力の改善
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20H04095
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Research Institution | Shijonawate Gakuen University |
Principal Investigator |
青木 修 四條畷学園大学, リハビリテーション学部, 教授 (50637535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大谷 啓尊 神戸国際大学, リハビリテーション学部, 助教 (50732997)
森下 慎一郎 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (60635077)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ノイズ電気刺激 / バランス |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中片麻痺患者では運動、感覚、高次機能障害に起因するバランス低下がみられる。感覚入力信号に外部からノイズ波形を付加することで、確率論的に入力信号が感覚閾値を超えて知覚しやすくなることが示唆されている。前庭系に対してこのような感覚入力を変調するノイズ前庭電気刺激を用いることで、脳卒中患者の静的立位バランスにおける視覚代償は改善したが、歩行などの動的バランスに対する影響は明らかではない。このため、ノイズ電気刺激が動的バランスに与える影響を明らかにする目的で研究を実施した。 COVID-19の影響により継続したデータ計測が困難であったことから、脳卒中患者(70.6±9.2歳)を対象としてノイズ前庭電気刺激の短期介入効果を検討した。各被験者の感覚閾値の1%(偽刺激)、70%の電流強度でノイズ前庭電気刺激を適用した。立位で電気刺激適用中に15秒間の静止立位後、能動的に前後への最大重心移動と15秒間の保持を行わせた。その結果、静止立位では偽刺激と比較して70%の電気刺激において有意に減少した。能動的な重心移動距離では70%刺激により減少傾向を示したものの有意差はみられなかった。また、介入前後のTUGには変化がみられなかった。ノイズ前庭電気刺激のみでは脳卒中患者でも動的バランスの改善効果は見られないことが再確認された。一方、TUGについてはノイズ刺激適用中ではなく、短時間の適用後の前後比較であったことから差がみられなかった可能性も考えられる。 当初予定では前庭および体性感覚へのノイズ電気刺激を併用することでの効果を検証することを計画していたが、対象者への接触時間制限などの影響により前庭電気刺激単独での検証となった。次年度は複数感覚への電気刺激を併用することでの動的バランスへの影響を継続検証していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は当初計画よりもやや遅れている。COVID-19の影響により脳卒中患者を対象とした実験計測が継続的に実施困難であることが影響している。体性感覚への刺激実施も機器の不具合によりデータ収集が不十分であるため検討に至っていないことも影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
機器設定の見直しを可及的速やかに実施し、複数感覚へのノイズ電気刺激の動的立位、歩行のバランスへの即時的な効果を検証していく。今後も発症初期の脳卒中患者では、継続的な介入効果検証の困難が予測されるため、健常若年者、維持期脳卒中患者を対象として実験を実施する予定とする。
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