2022 Fiscal Year Annual Research Report
Lymphatic transport of dietary flavonoids: elucidation of its driving force and physiological roles
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20H04104
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
室田 佳恵子 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 教授 (40294681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 信之 東京農業大学, 応用生物科学部, 教授 (50370135)
早坂 晴子 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70379246)
中村 俊之 岡山大学, 環境生命科学学域, 助教 (90706988)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フラボノイド / リンパ輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度はアピゲニンとルテオリンのアグリコン及び数種の配糖体を用いて、化学構造の違いがリンパ輸送性に及ぼす影響を検討した。その結果、ルテオリンはアピゲニンよりもリンパ系へと輸送されやすく、先行研究で見られたケルセチンの場合と類似した吸収性を示すとの結果を得た。また小腸粘膜酵素により分解されない配糖体が低濃度ながらもそのままリンパ液に出現し数時間存在し続けることが見出された。吸収されたフラボノイドがリンパ系に至る経路には腸間膜リンパ節が存在する。樹状細胞 (DC) の活性化をケルセチンが抑制するという報告があることをふまえ、リンパに輸送されるフラボノイドの生理作用として、腸間膜リンパ節での免疫応答に影響を与える可能性を検討することとした。ケルセチンあるいはアピゲニンをin vitroで分化誘導したマウス骨髄由来 DCに添加し、LPS 有無の条件下で培養した結果、ケルセチン添加では非添加と比較して成熟 DCの出現頻度が有意に低下した。一方、成熟 DC 中の活性化 DC 割合には有意な違いはみられなかった。アピゲニン添加においても、LPS 存在下ではケルセチン添加と同様の効果がみられた。以上のことから、ケルセチンとアピゲニンは骨髄細胞から成熟 DC への分化を抑制することが示唆された。さらに、ケルセチンあるいはその配糖体であるルチンの添加食をラットに2週間自由摂取させ、腸間膜リンパ節の組織形態を解析した。その結果、ケルセチン添加食を摂取したラットの腸間膜リンパ節では、標準食またはルチン添加食を摂取したラットの腸間膜リンパ節と比べて二次リンパ濾胞の数が少なく、免疫応答の指標となる胚中心がみられなかった。このことから、ケルセチン摂取によりリンパ系へと輸送される代謝物が腸間膜リンパ節での免疫応答を抑制する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リンパ系輸送経路を選択するポリフェノール構造の解明については、先行研究であるケルセチンに加えて、アピゲニン、ルテオリンについての構造比較を実施し、その他の構造をもつフラボノイドについても検討に着手した。また輸送経路の異なるケルセチン分子種を用いた動物実験を行い比較することにより、ケルセチンがリンパ輸送されることの生理的意義が見出されつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2023年度は以下の3点について研究を進めていく。 1)リンパ系輸送経路を選択するポリフェノール構造の解明(担当:室田、中村)ここまでにケルセチン、アピゲニン、ルテオリンの比較をほぼ完了しているため、ケンフェロールを加えることで、フラボン/フラバノール骨格をもつ分子の水酸基の位置と数に関する考察を完了する。最終年度は、リンパ液と末梢血漿に見られる代謝物の構造の違いについても解析を実施する。フラバノン骨格を有する分子を用いた基本骨格構造の違いによる影響についても引き続き検討対象としていく。 2)ポリフェノールのリンパ系輸送に対するdriving forceの同定(担当:室田、高橋) リンパカニュレーションラットへの投与時に共存させる成分の影響を検討することで、リンパ系輸送のdriving forceは何かを明らかにする。最終年度である今後はフラボノイドと食事中で共存し得る成分のうち乳化作用をもつリン脂質に絞った検討を行う予定である。リン脂質はフラボノイドの可溶性を高める一方で、高濃度リン脂質の投与は腸管の透過性にも影響すると考えられることから、腸管粘膜透過性がフラボノイドの吸収経路や代謝物構造に及ぼす影響を検討する。ヒト小腸モデルとして汎用されているCaco-2細胞を用いてメカニズムを検証することで、フラボノイドのリンパ系輸送に対するdriving forceの一端を解明する。 3) フラボノイドのリンパ系輸送の生理的役割の解明(担当:早坂、室田)2022年度に引き続き、リンパ系細胞や腸間膜リンパ節に対するフラボノイド類の影響を明らかにしていく。免疫系の解析をより詳細に行うため、ラットだけなくマウスを用いたフラボノイド摂取実験を実施する予定である。培養細胞を用いた実験では、フラボノイドアグリコンではなく、実際にリンパ液中に出現する抱合代謝物を用いた実験を行う予定である。
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Research Products
(4 results)