2020 Fiscal Year Annual Research Report
中鎖脂肪酸修飾タンパク質による新たな運動器恒常性維持機構の解明
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20H04107
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉澤 達也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40313530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 悠介 熊本大学, 発生医学研究所, 准教授 (60601119)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 運動器 / 骨 / 骨格筋 / アシル化 / サーチュイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、SIRT7を足がかりに、運動器における中鎖脂肪酸アシル化修飾タンパク質の重要性を分子レベルで明らかにする事を目的とし、次の課題について解析している。1)中鎖脂肪酸アシル化修飾タンパク質の同定とその役割の解明。2)運動器におけるSIRT7の役割とその分子機構の解明。3)脂肪酸アシル化修飾の環境による変化について。令和2年度は以下の研究を実施した。 1)中鎖脂肪酸アシル化リジン残基特異的抗体を用いた免疫沈降と質量分析により、これまでに報告がなかった中鎖脂肪酸由来アシル化修飾を受ける新規タンパク質の取得を行った。さらに、SIRT7の脱アセチル化活性と脱中鎖脂肪酸アシル化活性を分離できる点変異体を開発し、CRISPR-Cas9システムを用いてこの変異を持つマウス個体の作成を行った。 2)間葉系幹細胞におけるSIRT7の役割とその分子機構の解析:間葉系幹細胞特異的Sirt7 KOマウスと間葉系幹細胞可視化(CXCL12-GFP)Sirt7 KOマウスの作成を行った。脂肪細胞では、SIRT7はPPARgの382番目リジンの脱アセチル化を介して、脂肪酸合成を制御することを明らかにした。 骨格筋サテライト細胞におけるSIRT7の役割とその分子機構の解析:サテライト細胞特異的Sirt7 KOマウスでは、骨格筋損傷後の筋再生が損なわれていることを見出した。WTとSirt7 KOマウス由来の初代培養サテライト細胞を用いた細胞増殖・分化能に差異は見出せなかったことから、サテライト細胞と周辺細胞との相互作用にSIRT7が重要な役割を果たしている可能性が示唆された。RNA-seqの結果では、サテライト細胞の増殖に重要なNF-kBシグナル経路関連の遺伝子発現が低下していた。 3)中鎖脂肪酸アシル化修飾タンパク質は老化により増加すること、絶食により細胞内の局在が変わること、などが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画以上に進展している課題と、やや遅れている課題が混在しているが、全体的には概ね順調に進展していると言える。 やや遅れている課題とは、2)の間葉系幹細胞におけるSIRT7の役割とその分子機構の解析であり、マウスの作成、数の確保に手間取った。理由として、当大学マウス施設の大規模改修のため、飼育できるマウスの数が1/3に減らされたことによる。現在、改修工事は完了し、徐々にマウスの繁殖を再拡大している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)中鎖脂肪酸由来アシル化修飾を受ける新規タンパク質の取得をさらに行うため、老齢マウスなどを用いてスクリーニングする。さらに、取得したタンパク質のアシル化による機能変化を解析する。また、作成したSIRT7の点変異(脱アセチル化活性と脱中鎖脂肪酸アシル化活性を分離できる)マウス個体の解析を行い、中鎖脂肪酸由来アシル化修飾の重要性を個体レベルで証明する。 2)骨:間葉系幹細胞特異的Sirt7 KOマウスと間葉系幹細胞可視化(CXCL12-GFP)Sirt7 KOマウスの繁殖を拡大し、形態学的解析、培養細胞を用いた解析、RNA-seqによる遺伝子発現解析を行う。 骨格筋:免疫細胞によるサテライト細胞の増殖促進におけるSIRT7の分子機構を解明する。 3)引き続き外的要因変化による中鎖脂肪酸由来アシル化修飾の変化を解析する。
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Research Products
(1 results)