2020 Fiscal Year Annual Research Report
Do polyunsaturated fatty acids improve sarcopenia and frailty? a cohort study in community-living population
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20H04114
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Research Institution | Nagoya University of Arts and Sciences |
Principal Investigator |
下方 浩史 名古屋学芸大学, 大学院栄養科学研究科, 教授 (10226269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 礼 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 部長 (00532243)
幸 篤武 高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 講師 (00623224)
丹下 智香子 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 研究員 (40422828)
安藤 富士子 愛知淑徳大学, 健康医療科学部, 教授 (90333393)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サルコペニア / フレイル / コホート研究 / 多価不飽和脂肪酸 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
サルコペニア・フレイルの予防には運動と栄養が重要であると考えられる。栄養では蛋白質の摂取が必要であるが、高齢者では口腔機能、腎機能の低下などにより十分な量の蛋白質が摂取できないこともある。近年、基礎的研究により、長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)の筋量・筋力低下予防効果が報告されており、サルコペニア・フレイルの予防には、LC-PUFAの摂取が運動や蛋白質摂取を補完できる可能性がある。本研究では、長期にわたって追跡されている地域住民コホートの3,983人を対象として、LC-PUFAの摂取量・血清濃度とサルコペニア・身体的フレイルとの縦断的関係を、栄養、運動、遺伝子等との交互作用を考慮して解明し、LC-PUFAがサルコペニア・身体的フレイルの発症・進展を抑制しているのか、また抑制しているならば、その必要量はどのくらいなのかを明らかにすることを目指した。令和2年度は、使用データ整理及びPUFAとフレイルの関連についての横断的解析を実施した。解析データは、第1次から第7次までの調査の結果と、その後の追跡調査のデータの継続実施及び整備を行い、解析のためのデータベースを構築した。また遺伝子データとして25万エクソームSNPのデータを整備し、PUFAに関連する多型を選定した。その結果、LC-PUFAとFAD1、FAD2遺伝子多型rs174546、rs174547、rs1535と関連が強いことが明らかとなった。LC-PUFAと身体的フレイルとの横断的な解析では、身体的フレイル診断はFriedらの方法(J Gerontol 56A; M146, 2001) に準じて行い、食事中のDHAが多いと身体的プレフレイルが少ないことが明らかとなった。また血中のLC-PUFAでは、EPA、DHAが高いと身体的プレフレイルが少ないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度には以下のように地域住民コホートのデータ整理およびLC-PUFAとサルコペニア・身体的フレイルの関連についての横断的解析を実施することを目標としていた。 (1)データ整理、エンドポイントデータの継続的収集、データベース構築:第1次から第7次までの調査の結果と、その後の追跡調査のデータの継続実施及び整備を行い、解析のためのデータベースを構築する。 (2)遺伝子多型データの整備:25万エクソームSNPのデータを整備し、PUFAの血清濃度に関連する多型を選定する。 (3)横断的解析:n-3系およびn-6系LC-PUFA摂取量、血清濃度とサルコペニアとの横断的関連を、年齢、性別に加えて、喫煙、飲酒、身体活動量などの生活習慣など背景要因を調整して解析する。同様にLC-PUFA摂取量、血清濃度と身体機能、身体的フレイルとの横断的関連についても解析を行う。またPUFA血清濃度に影響を及ぼす遺伝子多型について、サルコペニア、身体的フレイルとLC-PUFA摂取量などの交互作用を検討し、遺伝的体質が、サルコペニアおよびフレイルの発症に及ぼす影響について明らかにする。 解析に使用するデータは個人情報を含むため、データが保管されている国立長寿医療研究センターで解析を行う必要がある。高知大学などの研究分担者、研究協力者は長寿医療研究センターに出張し、データの収集、整備、解析を行って、令和3年3月までに中間的な研究成果を取りまとめ学会等で発表する予定であった。しかし、上記の(1)~(3)の目標のうち、コロナ禍のため(3)の出張ができず、解析の一部であるサルコペニアとPUFAとの横断的関連についての解析ができなくなってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
20年以上にわたって追跡されている地域住民のコホートを対象として、LC-PUFAの摂取量・血清濃度とサルコペニア、身体的フレイルとの関連を解析する。令和3年度、4年度は令和2度に行った地域住民コホートのデータ整理およびLC-PUFAと身体的フレイルの横断的関連の解析に引き続き縦断的解析を行うとともに、LC-PUFAとサルコペニアとの横断的解析、縦断的解析を行う。またLC-PUFAに関する遺伝子の交互作用についての解析を実施する。 1) LC-PUFAとサルコペニアとの横断的、縦断的解析:n-3系およびn-6系LC-PUFA摂取量、血清濃度と筋量、筋力、サルコペニアとの横断的、縦断的関連を、年齢、性別に加えて、喫煙、飲酒、身体活動量などの生活習慣など背景要因を調整して解析する。サルコペニアの診断はアジア・ワーキンググループの方法に準じて行う。解析には一般化推定方程式、線形混合モデルを用いる。 2) LC-PUFAと身体的フレイルとの縦断的解析:同様にLC-PUFA摂取量、血清濃度と身体機能、身体的フレイルとの横断的関連についても解析を行う。身体的フレイルの診断はFriedらの方法に準じて行う。 3) 遺伝子多型解析:PUFA血清濃度に影響を及ぼすことが明らかとなった遺伝子多型、PUFA代謝関連遺伝子FADS1、FADS2多型とLC-PUFAとの交互作用と、サルコペニア、フレイルについて検討し、遺伝的体質が、筋肉量、筋力、サルコペニアおよびフレイルの発症に及ぼす影響について明らかにする。 4) 総合解析:横断的解析、縦断的解析の結果から、LC-PUFAによるサルコペニア、身体的フレイル予防の可能性についてまとめ、総合的な評価・判断を行う。
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Research Products
(7 results)