2021 Fiscal Year Annual Research Report
腸内アミノ酸調整による腫瘍発生の回避とその機序の解明
Project/Area Number |
20H04123
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
星 奈美子 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (40645214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 大介 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 特命助教 (00650615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アミノ酸 / 大腸癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
必須アミノ酸の中から複数の候補を選択して90%制限食を作成しマウスに与えたところ、特定の必須アミノ酸で腫瘍が激減することを見出した。このアミノ酸を輸送することが知られているアミノ酸トランスポーターであるL-type amino acid transporter 1 (LAT1)に着目し、予定通り腸管上皮特異的にLAT1が欠損するマウスを作成し、更に腫瘍モデルと交配して観察をおこなった。LAT1欠損マウスにおいて、小腸での腫瘍の成長抑制がおこることが観察される陽性所見をえた。この機序において、腫瘍細胞の増殖抑制と、アポトーシス亢進があることがわかり、腸管オルガノイド実験も導入して詳細な機序を評価した。ここで、腫瘍の成長抑制だけでなく、LAT1欠損が腫瘍発生自体を回避できていることが示唆される観察結果が得られた。LAT1は従来、正常腸管上皮では発現していないと考えられていたが、正常細胞で発現していないと腫瘍発生回避に関わることができないと考え、免疫染色などで再評価したところ、腸陰窩の細胞で発現しているという新規の知見を得ることができた。更に、腸管上皮は上皮幹細胞由来として内分泌細胞、吸収上皮、杯細胞、パネート細胞など複種の細胞に分化することが知られているが、LAT1欠損によってパネート細胞の数が激減していることが判明した。パネート細胞は幹細胞のニッチ形成に重要であることから、腸管上皮特異的LAT1欠損マウスで腫瘍成長に抑制がおこるのは、パネート細胞減少が関わる可能性があるのではと考え、研究を発展させている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アミノ酸、アミノ酸トランスポーターが腸管腫瘍形成に重要である所見が複数得られており、ほぼ計画通りに遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、アミノ酸トランスポーター欠損マウスで得られた知見と、低アミノ酸食で得られた知見の機序に整合性があるか、両モデルを使用して研究を進める。
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