2022 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化治療法の確立に向けたHDLリモデリングの分子基盤の解明とその応用
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20H04124
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
奥平 桂一郎 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (10425671)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 太郎 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 特任助教 (30749388)
田中 将史 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (40411904)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高密度リポタンパク質 / 動脈硬化 / アポリポタンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
高密度リポタンパク質(HDL)は、動脈硬化病変からの余剰脂質(コレステロール、リン脂質)の引き抜き(脂質搬出反応)や、抗炎症作用、抗酸化作用など、様々な効果により抗動脈硬化的に作用する。本研究では、HDLの抗動脈硬化作用に関与することが示唆されている結合タンパク質apoA-I binding protein(AIBP)の機能の検証および生理活性の分子機構を明らかにすることを目的として研究を進める。これまでの研究において、リコンビナントAIBPを大腸菌発現系により作製したリコンビナントAIBPが細胞からのTNFaやIL-6などの炎症性サイトカインの分泌を抑制して、抗炎症的に作用することを明らかにした。また、AIBPとHDLを同時に加えることで、炎症を抑制する効果が増強されることが分かっている。本年度は、抗炎症効果を有するAIBPの生体における役割を明らかにする目的で、ヒトから採取した血液におけるAIBP濃度を測定し、生化学検査値との相関を調べた。ELISA法によって測定したヒトAIBPの血中における濃度は、人種および年齢とは相関が認められなかったが、血液中の中性脂質の濃度と正の相関を示すことが明らかとなった。今後はサンプル数を増やして相関関係の検証を進め、AIBPの生体における役割や機能を明らかにすることを目指す。また、血中滞留性の改善を目的として作製した改変型リコンビナントAIBPの活性を細胞で確認したところ、野生型とほぼ同程度の抗炎症活性を示すことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画の通り、ヒト血液におけるAIBPの測定を実施しており、さらにリコンビナントAIBPの効果検証の実験が進行中であり、概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに多くのヒト血液サンプルを入手し、引き続きAIBP濃度と生化学検査値との相関を調べて、生体におけるAIBPの機能を明らかにすることを目指す。リコンビナントAIBPによる抗動脈硬化作用をin vivoで評価する。
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