2021 Fiscal Year Annual Research Report
慢性腎臓病(CKD)重症化予防戦略:リンの時間栄養学解明
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20H04127
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
辰巳 佐和子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80420545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 頌治 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (70645209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リン / 日内リズム / 慢性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、昨年度の研究実績を踏まえて予定していた研究を推進させることができた。 1)全身性Namptヘテロ欠損、肝臓特異的および腸管特異的Nampt欠損マウス(LNKO, INKO)のリン代謝について詳細に検討した結果、LNKOではWTに比べ,休息期(明期)において著しい血中リン濃度の上昇を認め、さらに腎臓、筋肉組織中へのリン組織移行に異常が認められた。この異常はLNKOでは食餌から摂取したリンが肝臓一時捕捉されず血中へ放出されるためであると考えられた。INKOではリン吸収率が異常に上昇しており、その理由は経細胞輸送、細胞間隙輸送関連タンパク質の変動によるものであった。 2)血中リン濃度の概日リズム活性化因子(Nampt Activator)について検討を進めたところ、Nampt/NAD 代謝経路を調節する代謝産物(NMN, NR 他)の大きな変動と、Sirt1活性の抑制が認められた。次年度以降にさらにこれらの解析を進める予定である。 3)摂食時間を変化させたCKDモデルマウスの概日リズムの検討を行なった。 CKDマウスでは、睡眠障害が生じ摂食行動が変化した。通常マウスは明期には睡眠をとるため摂食量が減少するが、CKDマウスではダラダラと明期にも摂食行動を起こす。さらに興味深いことに、摂食時間を夜間の遅い時間帯に制限にしたCKDマウスでは夜間の早い時間帯に制限しマウスよりも症状が悪化した。夜間早い時間帯に摂食時間を制限したマウスでは血中リン濃度の上昇が抑制された。さらに腎臓の異所性石灰化も抑制された。CKD患者の摂食時間を制限することで進行を抑制できる可能性が推察された。さらに、夜間早い時間帯に摂食を制限したCKDマウスでは腎臓内のNAD 濃度が上昇しており、Nampt/NAD系が 活性化していたと考えられた。現在この機序についてさらに検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究が概ね順調に進んだ理由として以下の3点が考えられる。 1)計画していた動物実験が順調に進んだこと 2)代謝産物の解析に関しては学内の研究者より助言をもらい進めることができたこと 3)遺伝子組み換え動物が安定して使用できたこと。 これらの3点により概ね実験が順調に進んだと考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)代謝産物の解析に関して、引き続き学内研究者のサポートを受け、さらに発展させることとする。 2)リン代謝およびNampt-NAD系の解析に関して、より感度のよい放射性物質を使用して検討する(他大学との共同研究)
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Research Products
(6 results)