2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the mechanism of NASH resolution via the gut-liver axis for future clinical application
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20H04129
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中本 伸宏 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (40383749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | NASH / 肝線維化修復 / 腸内細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
C57BL/6マウスに高脂肪高コレステロール食(HFHC食)を24週間投与し、体重増加、肝脂肪化、炎症細胞の浸潤、肝線維化などのヒトNASH病態の特徴を正確に誘導、再現する新規NASHモデルを用いた検討に着手した。さらに、肝線維化完成後にHFHC食を普通食(ND食)に切り替え8週間投与を継続 (RES 8W)すると肝線維化が組織学的に回復し、その際に肝臓内にCD44+CD62L-CD69+のphenotypeを有するCD8+ Trm細胞が集積することを見出した。肝線維化修復期に抗CD8中和抗体を投与し本細胞を除去すると肝線維化修復がキャンセルされること、肝線維化進展期に本細胞を移入すると線維化進展が抑制されることから、肝線維化を制御する新規細胞標的としてCD8+ Trmに着目した。 肝線維化病態への腸内細菌の関与を検証するために、マウスNASH線維化進展期、および修復期の腸内細菌組成の解析を経時的(ND, HFHC, RES 2W, 5W, 8W)に行った。NDと比較しHFHC期に腸内細菌の組成は大きく変化する一方、線維化修復に伴い定常状態に戻る傾向があることを確認した。一方RES 8Wにおいても完全に元の状態には回復せず、さらにこの時期にBifidobacteriaceaeの一種の増加が認められ本菌がNASH線維化修復に寄与する可能性が示唆された。さらにNASH線維化修復期に広域抗生剤による腸管除菌を行うとCD8 T細胞の増加と共に線維化修復がさらに促進することから、病態への腸内細菌の直接的関与が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
NASH肝線維化修復へのCD8 T細胞の役割と腸内細菌の関与について当初の計画通り研究を遂行し、新しい知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降、無菌マウスを用いてNASH肝線維化修復への腸内細菌の関与、肝臓内免疫細胞との相互作用を検証する。さらに今回同定したNASH肝線維化修復誘導候補菌を無菌マウスに投与したノトバイオートマウスにNASHを誘導し、その病態への直接的関与を検証する。 申請者のグループはこれまでに原発性硬化性胆管炎(primary sclerosing cholangitis: PSC)患者の便サンプルを無菌マウスに移植したヒトフローラ化マウスにおいてSPFマウスでは認められない特定の腸内細菌によるbacterial translocation、肝臓Th17誘導が起きることを見出し、同マウスの腸間膜リンパ節からbacterial translocationの原因菌であるKlebsiella pneumoniaeを分離、さらに本菌がPSC患者に高率に検出されることを報告した (Nakamoto N, et.al. Nat Microbiol 2019)。今後、本研究課題においても本手法をNASH患者に応用し、下記の方法によりNAFLD→NASH進展→NASH修復に寄与する腸内細菌の同定を試みる予定である。
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