2020 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of autonommic regulation by hormone secreted from skeletal muscle and significance in metablic symdrome improvement
Project/Area Number |
20H04133
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
谷田 守 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (70512309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自律神経系 / irisin / 視床下部 / 運動 / 交感神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、骨格筋の膜タンパク質であるfibronectin type III domain containing 5 (FNDC5)の細胞外ドメインで、運動による筋収縮時にPGC1-αに依存して血中に放出されるirisinがホルモンとして末梢組織に直接作用することがわかっている。一方、運動後にirisinが血中に放出された後、脳に作用する経路においても、ホメオスタシス維持に関与している可能性が考えられる。自律神経は脳から末梢へと情報連絡する遠心路を介して末梢臓器の調節を行っていることから、本研究では、irisinが自律神経遠心路に及ぼす作用を解析する為に、麻酔下のラット及びマウスの脳室内にirisinを投与した際の遠心路自律神経反応を解析した。その結果、麻酔下でのラット及びマウスへのirisin脳室内投与は遠心路交感神経腎臓枝の活動、血圧を増大させた。さらに、irisin脳室内投与は遠心路迷走神経胃枝の活動を抑制させた。またirisin脳室内投与は、遠心路交感神経白色脂肪枝を活性化させたが、遠心路交感神経褐色枝の活動には影響しなかった。 さらに本研究では、運動によってirisinが脳へ移行するか否か解析する為に血中及び脳脊髄液中のirisin濃度へ及ぼすトレッドミル運動の影響を調べた。その結果、5日間のトレッドミル運動に馴化したラットにおいて、60分のトレッドミル運動直後で血中irisin濃度が上昇した。また脳脊髄液中のirisin濃度は上昇傾向であったが、有意な差は検出されなかった。さらに、エバンスブルーでマウス脳・視床下部への血管透過性を検討した実験において、トレッドミル運動によって視床下部への血管透過性はコントロールと同程度であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨格筋ホルモンであるirisinが自律神経系に作用するか否かマウスとラットで解析した結果、交感神経遠心路を臓器特異的に促進させ、逆に、迷走神経遠心路を抑制させることがわかった。従って、irisinが脳に作用して自律神経系を介して末梢臓器を調節する作用を持っていることがわかった。一方で、運動後に骨格筋から放出されるirisinが血液を介して脳へ移行するか否かラットで解析した結果、トレッドミル運動60分後に血中irisin濃度が上昇したが、脳脊髄液中のirisin濃度は増大しなかった。従って、運動条件を再考する必要があると共に、ラットのみではなくマウスにおいても、トレッドミル運動が血中及びirisin濃度に及ぼす影響を検討する必要がある。また、トレッドミル運動が脳への血管透過性へ及ぼす作用を解析する実験について、アルブミンに結合するエバンスブルー以外の方法として、放射性同位元素を用いた検討を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、骨格筋ホルモンのirisinの脳内投与による自律神経遠心路の脳内調節機構について解析を進めると同時に、末梢でのirisinシグナルが求心路自律神経系に作用する経路の発掘と解析を進めていく。
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[Journal Article] The liver-brain-gut neural arc maintains the Treg cell niche in the gut.2020
Author(s)
Teratani T, Mikami Y, Nakamoto N, Suzuki T, Harada Y, Okabayashi K, Hagihara Y, Taniki N, Kohno K, Shibata S, Miyamoto K, Ishigame H, Chu PS, Sujino T, Suda W, Hattori M, Matsui M, Okada T, Okano H, Inoue M, Yada T, Kitagawa Y, Yoshimura A, Tanida M, Tsuda M, Iwasaki Y, Kanai T.
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Journal Title
Nature
Volume: 585
Pages: 591-596
DOI
Peer Reviewed
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