2021 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of autonommic regulation by hormone secreted from skeletal muscle and significance in metablic symdrome improvement
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20H04133
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
谷田 守 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (70512309)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 自律神経 / マイオカイン / 細胞内シグナル伝達 / 視床下部 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
運動は生活習慣病予防に有効であり、その作用機序は多岐にわたっている。運動によるホメオスタシス調節について、内分泌学的及び自律神経生理学的観点で検討する本研究は、運動によって骨格筋から分布されるマイオカインの一つであるirisinの作用に着目して研究を進めている。これまでの研究成果から、ラットの運動後において血中で上昇反応を示すirisinについて、ラット及びマウスの脳室内irisin投与は交感神経遠心路神経活動を活性化して、逆に迷走神経遠心路神経活動を抑制することがわかっている。irisinは血中を経て脳に作用することが推察されるが、脳のどの部位で作用して自律神経系を調節しているかはよくわかっていない。今年度は、(1)irisinがどの視床下部の神経核へ作用して自律神経制御を行っているか解析を行うこと、(2)細胞内シグナル伝達系の解析、以上の2点を中心に研究を行った。その結果、以下のことがわかった。 (1)マウス脳室内へのirisin投与は、視床下部の背内側核、腹内側核、弓状核での転写因子であるc-fos陽性細胞数が増えた。 (2)ラットへの腹内側核へのirisin微量注入は交感神経遠心路活性化を惹起した。 (3)マウス脳室内へのirisin投与は、視床下部の細胞内シグナル分子を活性化した。 (4)末梢からの入力をもつ自律神経求心路へ及ぼすirisinの効果について解析を行ったところ、irisinをマウス静脈内に投与すると、求心路迷走神経活動が濃度依存性に増大した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
irisinによる自律神経制御の仕組みについて、脳・視床下部の標的神経核は絞れているが、細胞内シグナル伝達経路に関する解析を基盤にした遺伝子組換え実験に時間を要している。irisinの作用機序に関与する細胞内シグナル分子をノックダウンさせるか、コンディショナルノックアウトマウスの作製に取り組むか、その準備が少し遅延している。現在も実験系を立ち上げており、翌年度も継続して研究を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、遺伝子組換え実験を進めて、irisinによる自律神経作用のキー分子を探索・同定する。さらに、自律神経が寄与する摂食、循環及び代謝機能に関する実験系の構築と共に、求心路自律神経への作用経路についても解析を進める。
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Research Products
(4 results)