2020 Fiscal Year Annual Research Report
生物の集団行動ダイナミクスの解明と自律分散型通信システムへの展開
Project/Area Number |
20H04144
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
合原 一究 筑波大学, システム情報系, 准教授 (70588516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 大智 大阪大学, 情報科学研究科, 助教 (00709678)
村田 正幸 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (80200301)
青柳 富誌生 京都大学, 情報学研究科, 教授 (90252486)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動物行動 / 数理モデリング / 野外計測 / 通信方式 / 無線センサネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では「生物の集団行動を自律分散型システムと捉えて実験的・数理的に研究し、その成果に基づいて高効率な通信方式を提案すること」を目的としている。この目的に従って、今年度は以下の課題に取り組んだ。 ・課題1:先端的音響計測システムによる合唱構造解析 ・課題2:空間構造を考慮した数理モデリング ・課題3:無線センサネットワークにおける高信頼性に関する応用研究 まず課題1では、特定の周波数成分に反応して明滅を繰り返す音声識別装置「カエルホタル 2」とマイクロフォンアレイを田んぼに並べる野外調査を実施し、ニホンアマガエルの合唱構造を繰り返し計測した。また、マイクロフォンアレイを用いた半無響室における室内実験を実施し、スズムシの鳴き声を繰り返し計測した。以上のデータを解析し、種に応じた合唱構造の変化を分析したほか、ニホンアマガエルについては空間配置と合唱構造の関係性を定量化した。次に課題2では、近接個体との距離に応じて行動を変化させる数理モデルの構築を進め、集団全体の振る舞いを数理的に分析した。特に、異なる密度を想定した数値シミュレーションを進め、密度依存で集団全体の行動特性が変化する知見を得た。最後に課題3では、カエルの位相モデルを拡張し、近接端末間で効率的にパケット衝突を避けるアルゴリズムの構築を進めた。上記の成果のうち、音声識別装置の開発に関する成果を査読付き学術論文1編として公表したほか、動物行動学会、生態学会、関連セミナーでの講演4回をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴って出張が難しかったが、音声計測実験については代表者の合原が所属する筑波大学近辺のフィールドを中心に展開することで、また参画者間の連携についてはオンラインミーティングに切り替えることで対応した。その結果、音声計測実験、生物の行動モデリング、無線センサネットワークへの応用のいずれにおいても大きな問題なく実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、当初の研究計画にしたがって進めていく。特に、計測データについては合唱における同期特性と空間配置の解析を進めることで、野外環境における両者の関係性を明らかにしていく。また、生物の行動モデリング、無線センサネットワークへの応用については、空間構造に関する複数のバリエーションを検討することで、実際の野外環境や応用環境における具体的な問題点の解決に取り組んでいく。また、初年度は生物関連のコミュニティーでの研究発表を中心におこなったが、今年度は数理モデリングや通信関係のコミュニティーでも成果を発表することで、さまざまな観点からのフィードバックを得ていく計画である。
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Research Products
(7 results)