2021 Fiscal Year Annual Research Report
高速画像処理ハードウェアを基軸とした振戦抑制技術の確立と顕微鏡下手術支援への展開
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20H04158
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柴田 裕一郎 長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (10336183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
諸麥 俊司 中央大学, 理工学部, 准教授 (70346930)
北岡 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80234235)
上松 聖典 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (30380843)
眞邉 泰斗 長崎大学, 情報データ科学部, 助教 (90908534)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 振動抑制 / 画像処理 / マイクロサージャリー / FPGA |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに検討してきた画像からの振動情報抽出アルゴリズムは、オプティカルフロー推定を基盤とするものであったが、各ピクセルの移動量が微小でなければ十分な精度が得られないという問題点があった。これに対する一般的な対処法は、解像度ピラミッドを用いた山登り法の導入であるが、これはハードウェア化する際のパイプラインの構造や制御を複雑という難しさがあった。また、輝度不変性の仮定から照明変化に弱い点や、画素値を保持するフレームバッファのメモリ使用量が大きいという問題点も顕在化してきた。そこで、画像を細かく分割した上で、特徴量マッチングによるオプティカルフロー推定と従来から使用していた適応フィルタBMFLCを組み合わせて各ブロックの平均振動成分を得るとともに、BMFLCの重みパラメータを用いたフィルタリングを行うことで、背景と振動領域を低コストで分離する新規の振戦抽出システムを設計した。この結果、従来法に比べて振動領域を効果的に抽出した振動成分推定と、より低い資源使用量を実現した。 また、開発した構造や制御手法の定量的評価を実現するためには、抽出された振動の真値をどのように得るかが問題となっていたが、所望の振戦を再現できる装置を新たに開発した。さらに、磁気式3次元位置計測システムを用いて振動情報を高精度に測定できる環境を構築し、定量的な評価実験を行う環境を整備した。これらの実験環境を用いて、適応フィルタの種類が振動抑制に与える影響を評価した。 機能安全を考慮したFPGA回路設計手法においては、ハードウェア資源の多様性を用いた異種冗長設計法に加えて、回路合成時の最適化戦略の多様性を用いた異種冗長設計の設計フローを確立し比較実験を行った。評価の結果、3重冗長設計の際にも提案する設計手法の機能安全面での優位性を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度もコロナ禍の影響により出張が制約されたことから、画像処理ハードウェア部と加振機構を結合したプロトタイプシステムの実験ができなかった一方で、画像処理ハードウェア部においては、アルゴリズムの改良により背景全体の動きから手術器具の振動を分離して抽出することができるようになり、また適応的差分符号化を導入することで必要なメモリ量を削減することができるようになった。また、振動抑制システム試作機の構造や制御手法の定量的評価を実現するために、振戦再現装置を開発するとともに、磁気式3次元位置計測システムによる定量評価環境を構築するなど研究課題全体としてはおおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は画像処理ハードウェア部と加振機構を結合した実験を行い、これまでに検討したアルゴリズムやメカニズムの有効性を定量的に評価することに注力する。また、最終年度にあたることから、これまでに得られた知見を学会等で積極的に発表していく予定である。
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Research Products
(15 results)