2021 Fiscal Year Annual Research Report
次世代の天気予報での雷予報を見据えた先駆的雷気象モデルの開発
Project/Area Number |
20H04196
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 陽祐 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (10633505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 修吾 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (20354441)
橋本 明弘 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (20462525)
本田 匠 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (60756857)
三浦 裕亮 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (70415991)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 雷放電 / 気象モデル / 雲微物理 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、まず令和2年度までに成果をまとめて投稿した論文を、査読・改訂のプロセスを通して出版することに注力した。その結果、Honda et al. (2021, SOLA, doi:10.2151/sola.2021-018)、Honda et al. (2021, J. Gephys. Res., doi:10.1029/2021jd034611)、Kondo et al. (2021, SOLA, doi:10.2151/sola.2021-012 )を研究成果として出版した。 次に気象雷モデルを用いて現実事例を対象とした複数の数値実験を行い、気象庁が運用する雷放電観測(LIDEN)の観測結果との比較を通して、気象雷モデルの検証を実施した。その結果気象雷モデルが観測された雷を再現できることを確かめた。この成果をSato et al. (2022, Atmos. Sci. Lett., doi:10.1002/asl.1067)としてまとめて、出版した。 同時に雷観測のデータ同化技術に関する研究を令和2年度に引き続き実行し、現実事例を対象とした観測シミュレーション実験(OSSE)を実施した。 また全球モデルでの雷モデルの数値実験をすることを見据えて本研究で開発してきたポアソンソルバーの検証を行なった。 さらに、数値モデルの基盤となる研究として、気象雷モデルの高速化(最適化)、雷に密接に関わる雲物理特性に関する数値実験を実施するだけでなく、将来的に数値モデルの検証に用いる観測データとして有用な、偏波レーダーを用いた研究にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究開始時に本研究の目的として掲げた3項目、「1、現実事例で利用可能な雷気象モデルの開発」、「2、雷観測データを用いたデータ同化技術の開発」、「3、次世代の雷気象モデルの礎を築くための数値モデルの基盤的な開発」のうち、1の開発は検証まで含めて完了し、投稿論文として成果をまとめることができた。 また2は、OSSEを現実事例に拡張して行うことが可能になっただけでなく、投稿論文を投稿できるまでの成果が出た。 さらに3では、ポアソンソルバーを開発が概ね完了したことに加え、気象雷モデルの高速化によって、数多くの実験が可能になった。加えて、雷と密接に関連する、雲粒の微物理特性に関する研究をまとめた投稿論文が執筆中であり、観測学的研究も開始することができた。 以上から、目標とする項目ほとんどにおいて、投稿論文を投稿できる成果が得られただけでなく、研究開始当初の想定を超えて研究が発展し、観測学的研究にも着手できた。よって、研究は計画以上に進捗していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発・検証を進めてきた気象雷モデルの、既存の数値モデルに対する優位性の調査(すなわち、気象雷モデルを用いる意義が防災の観点からあるのか否か?を調査すること)を進め、科学的根拠を持って気象雷モデルの優位性を示すことで、本研究の成果が有用であることを示したい。 また引き続き雷モデルのデータ同化技術の高度化に関する研究と、数値モデルの基盤的な開発や、数値モデル開発の知見を得るための基盤的な研究を実施する。また観測学的研究との連携を通して、気象雷モデルの更なる検証・精緻化を進める。 加えて、令和3年度までに投稿論文として投稿または執筆中の成果を投稿論文として出版することを目指す。
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