2021 Fiscal Year Annual Research Report
無添加蓄光現象の高速撮像による動的蓄光マーカーの創生とその応用
Project/Area Number |
20H04204
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 智彦 東京大学, 情報基盤センター, 特任准教授 (10747843)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 動的蓄光マーカー / 蓄光現象 / トラッキング |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は①多様な動的マーカーの構築並びに②特徴を持たない個体移動のトラッキングを実施する。1つ目の項目として,前年度のマーカー生成を踏まえて,基盤技術である高速ドローイングの知見を活かし,任意形状での動的マーカー創生を行った.光源の光路上に2軸のガルバノミラーを設置し,光軸制御をリアルタイムに行うことにより,二次元パターンを対象に描くシステムを構築した.これにより多点のトラッキング対応を目指す.パターンの具体例として,ビットパターンや円形パターン,多角形パターン等が考えられるが,形状を描き終える前に燐光が観察できなくなってしまうとマーカーとして機能しない.そのため,各パターンの始点から終点を描き終えるまでの時間を算出し,燐光が継続している時間を最大値とする不等式によって,各パターンの描画成否を明らかにした.2つ目の項目として動的マーカーによるトラッキング例として,模様を全く含まない紙に対し,動的蓄光マーカーを発現させることで,トラッキングを実施した.紙をリニアアクチュエータ上で移動させ,同時に紙の中心に対して励起光を照射し続けることを実現した.さらに,前年度までの成果を発展させ,熱を利用した動的マーカーの基盤技術として,最適なマーカーの素材に関する検討やデフォーマブルミラーに関する光軸制御技術を研究し,2件とも国際論文誌に採択されただけでなく,関連技術の外部発表を積極的に行った結果,本研究の実装先であるインフラ点検の分野でも本光軸制御技術を利用した2件の解説論文採択と2件の招待講演があった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた研究内容の実施が順調に進んだだけでなく,研究途中で新たに発見した研究にも取り組んだ結果,発展的な成果を得ることができている点では当初の計画以上に発展している.一方で,新型コロナウィルスの影響で当初投稿を予定していた学会が開催されないこととなってしまい,発表できていない研究成果を有している点を鑑み,「(2)おおむね順調に進展している」として評価を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の状況を鑑み,2022年度以降は生物の剥製におけるトラッキングや,液状・粉体状の物質のトラッキングを実施する. 動的蓄光マーカーをバイオイメージングへ応用できるか検証するため,微生物を含むプレパラートや動物の剥製をリニアアクチュエータで動かしている状況で,対象のトラッキングを行う.この際,通常の貼り付け・埋め込みマーカーを付けにくく,かつ移動速度が速い対象として,鳥類の剥製を想定する.撮影フレーム毎にトラッキングを実施することで,移動速度をリアルタイムに計算する. また,流体・粉体に対して複数の動的蓄光マーカーを発現させることで,流路上を動く媒質のトラッキングを可能とし,各媒質の流れを全体にマッピングすることで,流路全体の流れの可視化を行う.流れ全体の動きがわかるように,複数点の同時トラッキングのソフトウェアの構築も実施する.
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