2020 Fiscal Year Annual Research Report
鑑賞者の視界に装置が入らない空中像表示のための環境反射型空中像手法の構築
Project/Area Number |
20H04223
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小泉 直也 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 助教 (80742981)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 空中像 / 光沢 / 反射 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は環境反射型空中像の実験用装置の設計を進めた。 環境反射型空中像における先行研究例では、反射面高さの下部に光源を配置する必要があり、装置サイズの大型になってしまうことが課題であった。そこでまず、システムの小型化に取り組んだ。具体的には、装置内部の反射面と同じ平面上に反射鏡を設置し、その上に光源を配置することで、光源の設置箇所を反射面高さより上部に配置することが可能となり、装置の小型化が実現できた。このとき、反射面に不要な地中像が結像してしまう問題を、光アイソレーターの原理(偏光を波長板を通して反射させることで反射光を除去する方法)を応用することで除去することに成功した。輝度やMTF(Modulation Transfer Function, 空間周波数特性を示す指標)、視域などを計測し、その実装手法と性能をまとめ論文誌で発表した。さらに、内部の反射鏡と光源を傾けることで、光線の方向を制御するフィルムのみで不要な地中像を除去する手法へと改善を行い、その基本原理の確認を行った。 同時に、空中像での応用が期待される周辺技術の開発も同時に行った。環境反射型空中像は、反射時に輝度が大きく減衰する問題があるが、それを改善するための方法として、太陽光源を集光し輝度の高い光源で空中像を作る手法の提案・設計・評価を行い、論文誌にて発表を行った。また、上記の反射鏡と光源の傾けによる装置の小型化の基礎原理をまとめ論文誌にて発表を行った。さらに、インタラクション技術として空中像ステレオカメラの提案・設計・評価も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、COVID-19による研究室や大学の閉鎖があり、実験及び実装の時間が十分に確保することができなかったため、 一部の内容に研究活動に遅れが生じている。 特に、光沢のある平面物体に対して、空中像の結像特性に寄与すると考えられる写像性(DOI)・反射率・BRDF等の光学特性値を網羅的に計測し、光沢物体の光学特性値データベースを準備に対して、実験時間の確保が難しく、まだ十分な実験データの確保ができていない。 一方で、実験を伴わない装置の設計や研究のまとめによる発表などには時間を費やすことができたため、多くの論文を発表することができている。 以上により、おおむね順調に研究が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は昨年度までに実装を行った空中像提示装置の設計方法をまとめ、環境反射型空中像の標準的な実験装置を完成させる。 また、初年度の計画にあったものの、大学閉鎖等で十分に実験データを収集できていない光沢物体の光学特性値データベースを準備すすめ、環境反射型空中像の解像度や輝度と、反射面の物性値の関係を明らかにし、環境反射型空中像に適した素材の特性を説明できるようにする。
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