2020 Fiscal Year Annual Research Report
骨導立体音像定位システムを個別最適化する補正フィルタ及び適応的学習法の開発
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20H04225
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
杉田 泰則 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (30401780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越田 俊介 八戸工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70431533)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 骨伝導 / 音像定位 / 非線形 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨導音による立体音像定位技術は、補聴器や視覚障害者の歩行支援システムなど、さまざまな応用が期待されている。我々のこれまでの研究では、気道伝達特性(外耳道入口から蝸牛までの伝達特性)と骨導伝達特性(骨導アクチュエータの加振部位から蝸牛までの伝達特性)を線形フィルタによりモデル化し、それを用いて補正フィルタを構築することで定位精度が向上することを確認している。しかしながら、現状での定位精度は約60%程度に留まっており、その原因を明らかにする必要がある。本申請研究では、1)骨導伝達特性の非線形性による定位精度への影響調査、2)骨導音受聴の際に生じるクロストークの定位精度への影響調査、を実施し、それらの調査結果に基づいて、定位の精度をユーザーごとに最適化する補正フィルタ、及び補正フィルタのパラメータを効率的に学習する手法を開発する。
令和2年度は、骨導伝達特性を非線形フィルタによりモデル化するために、スプライン補間型の新しい非線形適応フィルタの開発を行った。従来から良く知られている非線形適応ボルテラフィルタと比較して、少ない計算コストで複雑な非線形特性を表現できる可能性があることが分かった。また、骨導ヘッドホンで頭部を加振した際に、その振動が頭部内でどのように伝搬するかをシミュレートするためのシミュレーターの開発に着手した。今後は、これらの成果を利用して、実際に骨導伝達特性の同定実験を行い、骨導伝達特性の非線形性の程度の調査とその定位精度への影響を多角的に調査・検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた非線形適応フィルタの開発を行い、その有効性を確認し、今後の調査に必要な基本的な知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に開発したスプライン適応フィルタと、従来より良く知られている適応ボルテラフィルタを含むいくつかの非線形フィルタを用いて実際に骨導伝達特性の同定実験を行い、骨導伝達特性の非線形性の程度及び、定位精度への影響を調査、検討する。
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Research Products
(5 results)