2021 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluating Future Air Traffic Management Targeting Tokyo International Airport via Human-in-the-loop Simulation
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20H04237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 恵理 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (70462893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 武司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50358462)
立川 智章 東京理科大学, 工学部情報工学科, 准教授 (90633959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 航空交通管理 / 航空管制 / シミュレーション実験 / ヒューマンインザループシミュレーション / マンマシンインターフェイス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、羽田空港に到着する航空交通流を模擬するヒューマンインザループシミュレーション実験環境を構築し、実験のデモンストレーションを成功させた。 具体的には、ユーロコントロール実験研究所および電子航法研究所と連携し、羽田空港に到着する主要な航空交通が通過するT25およびT24空域を対象にして、実際の航空交通・気象データおよび空域・経路・ウェイポイントなどのアダプテーションデータ等を利用し、シミュレーション対象とする時間帯において飛行計画に沿って航空交通を発生させ、実験のデモンストレーションを実施した。 そして、データサイエンス(航空交通・気象データの利用、統計手法・機械学習の応用)と数理モデル(待ち行列モデル、マルチエージェントモデル、多目的最適化等)を組み合わせ、到着遅延時間を削減し、空港および周辺空域において航空交通の渋滞を緩和し、かつ燃料消費量を削減する、航空交通管理システムの設計と運用を提案し、数値シミュレーション実験により有効性を評価した。具体的には、羽田空港の北風運用を想定し、T25およびT24空域の入域地点等において、通常であれば34L滑走路に到着する航空機を、ピーク時において3機程度、34R滑走路に誘導し、かつ前機と機体間隔が小さい航空機に対して一定の速度減速を指示するアルゴリズムを実装することで、到着遅延時間だけでなく空港面の走行時間を削減することなどを定量的に示した。これらの研究成果を、ジャーナル論文3篇や学会発表論文7篇等にまとめて発表した。 さらに、提案システムと運用方法の実装を模擬し、ヒューマンインザループシミュレーション実験により管制官の操作性を評価するために、戦略的な到着順序づけと速度制御の目標値を管制卓に示して視覚的な管制支援を行う表示方法と手順を設計し、実験環境への実装に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画を作成した当初は、フランスにあるユーロコントロール実験研究所に渡航し、現地でヒューマンインザループシミュレーション実験環境を構築する予定であったが、コロナ禍のため、リモートでの研究連携に変更した。そのため、研究計画の変更が生じたが、当初予定していたヒューマンインザループシミュレーション実験環境の構築および社会技術システム設計論の確立について、当初予定していた進捗状況を実現しており、結果をジャーナル論文3篇や学会発表論文7篇等にまとめて発表するなど、研究成果の公表も順調である。本年度には、羽田空港に到着する航空交通流を模擬したヒューマンインザループシミュレーション実験環境の構築と実験デモンストレーションにも成功した。 さらに、羽田空港の到着遅延時間および空港面と周辺空域の渋滞緩和を実現するシステムと運用方法を提案して有効性を確認し、これらの実装を模擬してヒューマンインザループシミュレーション実験により管制官の操作性を評価するために、戦略的な到着順序づけと速度制御の目標値を管制卓に示して視覚的な管制支援を行う表示方法と手順を設計し、実験環境への実装に着手した。来年度には実装を実現し、管制経験者による初期的な評価実験を実施できる目処がついているなど、研究目的の達成に向けた着実な進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に沿って、羽田空港に到着する航空交通流を模擬したヒューマンインザループ実験の実現と、社会技術システムの設計の確立を目指した研究を実施する。 来年度は、本年度に提案した管制支援システムの設計と運用手法の実装をヒューマンインザループシミュレーション実験環境に模擬するため、戦略的な到着順序づけと速度制御の目標値を管制卓に表示し、視覚的な管制支援を行う方法と手順を実装できる実験環境を構築する。管制経験者による初期的な評価実験の実施を目指す。評価結果等をもとに、本年度に提案したシステム設計と運用手法を発展させて、より良い管制支援システムを提案し、研究成果を学術論文などにまとめて積極的に公表する予定である。
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