2022 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluating Future Air Traffic Management Targeting Tokyo International Airport via Human-in-the-loop Simulation
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20H04237
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 恵理 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (70462893)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土屋 武司 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50358462)
立川 智章 東京理科大学, 工学部情報工学科, 准教授 (90633959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 航空交通管理 / 航空管制 / 空港運用 / ヒューマンインザシミュレーション / マンマシンインターフェイス / 数理モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に構築した、羽田空港に到着する航空交通が輻輳するT25セクターを対象にしたヒューマンインザループシミュレーション実験環境のブラッシュアップと、周辺空域への拡張を行い、初期的な実験を実施した。 東京航空交通管制部の運用室を見学し、現場の管制運用のヒアリング調査を実施した。調査結果に基づき、提案する管制支援システムの実装を予定するT25セクターの航空交通に影響をおよぼす隣接のT46、T45、T14、T09セクター等の管制運用を模擬できるヒューマンインザループシミュレーション実験環境を構築した。具体的には、T25セクターを担当するレーダー管制卓、T25セクターに隣接するT46、T45、T14の管制運用を模擬するためのゴースト管制卓、パイロット卓、シミュレーション司令卓を結ぶネットワーク環境を構築した。そして、トラフィック量の少ない14:00台の航空交通シナリオを作成し、気象庁が提供する実データを分析して代表的な気象条件をシミュレータに設定し、管制経験者による初期実験を実施した。 さらに、管制支援を行う到着・出発管理の統合運用システムを研究開発し、その実装をヒューマンインザループシミュレーション実験環境に模擬した。提案した管制運用システムは、航空機の到着時刻を機械学習モデルを用いて予測し、時変待ち行列モデル、多目的最適化計算、非線形整数計画法を応用して、航空機の到着交通のより上流から速度制御(減速)・到着順づけ・滑走路割り振りを組み合わせた指示を、T25セクターの管制卓に表示するものである。管制官がパイロットに音声通信できるよう、管制支援システムのアルゴリズムだけでなく表示画面を設計し、ヒューマンインザループシミュレーション実験環境に実装した。このように、データサイエンス・数理モデル・シミュレーション実験を組み合わせた体系的な手法に基づくシステム設計を提案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍で移動が制限されたため、当初の予定通りに対面での共同作業は実現できなかったが、ユーロコントロールイノベーションハブ(実験研究所)や研究協力機関等とオンラインで適切に連携することで、予定通りに研究を進捗させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、これまでに構築した、羽田空港に到着する航空交通が輻輳するT25(知多)セクターを対象にしたヒューマンインザループシミュレーション実験環境を利用し、提案する管制支援システムの評価実験を実施する。 ヒューマンインザループシミュレーション実験環境には、T25セクターを担当するレーダー管制卓、T25セクターに隣接するT46、T45、T14の管制運用を模擬するためのゴースト管制卓、パイロット卓、シミュレーション司令卓を結ぶネットワーク環境を構築し、気象条件、空域運用、航 空交通パターン等を加味する複数のシミュレーションシナリオを準備する。そして、それぞれのシナリオに対して、将来の航空交通と、管制支援を行う到着・出発管理の統合運用システムの実装を模擬する。 具体的には、航空機の到着時刻を機械学習モデルを用いて予測し、時変待ち行列モデル、多目的最適化計算、非線形整数計画法を応用して導いた、航空機の到着交通のより上流から速度制御(減速)・到着順づけ・滑走路割り振りを組み合わせた指示を、管制官がパイロットに音声通信 で実現できるよう表示画面を管制卓に表し、管制経験者によるシミュレーション評価実験を実施する。そして、本研究で提案した、データサイエンス・数理モデル・シミュレーション実験を組み合わせた体系的なシステム設計に対し、シミュレーション実験による被験者の評価を反映し、運用を含めた管制支援を実現する。 本研究で得られたシステム設計やヒューマンインザループシミュレーション実験結果を、学術論文等にまとめるだけでなく、管制機関や航空交通管理システムを開発するメーカーにも提供し、提案システムの社会実装に貢献する。
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