2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20H04255
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
砂田 哲 金沢大学, 機械工学系, 教授 (10463704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原山 卓久 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70247229)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | リザバーコンピューティング / スペックル / ニューラルネットワーク / 高速ランダムパターン生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的の一つは,柔軟で高度な並列分散処理機能を光の物理現象に担わせることで認識・予測処理を高効率かつ高速に実行する光情報処理系を提案・実証することである。昨年度,光による仮想的な空間連続的ニューラルネット(光ニューラルフィールド)の概念を導入し,光ニューラルフィールドを生成するシリコンチップを製作した。これにより光ニューラルフィールドによる大容量のリザバー計算が可能となった。今年度は,カオス時系列予測,母音認識等の標準的なタスクに対して,その製作した光シリコンチップの処理能力を評価したところ,全てのタスクにおいて既存の光リザバー計算を超える性能があることを示した。特に,カオス時系列予測タスクにおいては,12.5GS/sでの入力レートに対する高速処理を示すことができた。2つ目の成果は,超高速現象の認識処理に向けた前処理系を構築したことである。本システムは,高速な光ランダムパターン生成器とそれを捉える検出系からなっており,高速に物体のイメージを時系列信号に変換することができる。実際,12.5GS/sのレートでスペックルと呼ばれる複雑パターンを生成し、それを物体に照射することで、12.5GS/sのレートでの時系列データ変換を示すことができた。また,認識したい物体をディスプレイに映した手書き数字として,その時系列データ変換を行い,主成分分析や多様体学習で低次元化させた結果,数字ごとのクラスタリングが可能であることを確認した。また,時系列データをニューラルネットで学習したところ96%以上の認識率を確認できた。3つの目の成果は, Direct feedback alignmentと呼ばれるランダム行列を用いた学習方法を最適制御の文脈に展開し,実際のシステムでの学習処理に応用可能としたことである。この成果に基づき,光電気遅延システムへの実装を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,当初の研究実施計画に従い,上述の光シリコンチップでの情報処理能力の評価を実施した。また,本成果のインパクトを強めるため,物体を超高速で認識可能な前処理システムを考案し,その原理実証実験にも成功した。さらに,昨年度に提案した動的な深層学習的情報処理の方法を実際のシステムへ実装するための新しい学習方法を提案し,最終年度での実証実験に向けた準備を着実に進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に作製した光シリコンチップはスパイラル状の結合多モード導波路構造をとっているため,非常に無駄の多い構造をしていた。無駄を取り除き,且つ波動カオスを生成して混合性を増加させて情報処理能力を高めることが可能なシナイのビリヤード型の微小共振器チップを今年度作製して基本性能を確認した段階である。最終年度は,波動カオス微小共振器チップを使ったリザバー計算能力を明らかにして,他光回路チップとの性能比較を実施する。また,今年度開発した前処理システムの安定性を高めて,波動カオスを用いた物体認識にも挑戦する。さらに,本提案の最適制御による光電気遅延システムでの学習実証実験を実施する予定である。
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Research Products
(27 results)