2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on intention inference by abduction based on recursive combination and embodiment
Project/Area Number |
20H04256
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
橋本 敬 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (90313709)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 次郎 京都産業大学, 情報理工学部, 教授 (80384725)
外谷 弦太 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特別研究員 (70847772)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 意図推定 / アブダクション / 再帰的結合 / プレイ / 人間エージェント相互作用(HAI) / 意図共有 / 概念融合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「非定型的なコミュニケーションで他者の意図推定はいかに可能か」という問いに対して、「意図推定は仮説生成と仮説選択からなるアブダクションであり、仮説生成は運動レパートリーの再帰的結合により、仮説選択はEmbodied Simulation(ES)と身体情動反応の情報により為される」という仮説を実証・精緻化することが本研究の目的である。 進化的な観点から上記の問いを検討し、意図推定は他者の反射的な行動の予測から進化したと考えるのが自然であり、行動・その予測・予測の裏をかくことで自他の内部状態が豊かに進化した結果、他者の意図の存在とそれを実現する行動ルールを措定するアブダクションとして進化したというシナリオを提示した。そして、この他者の意図と行動の仮説は、運動レポートリーというより「状態→行動→状態」の単純なルールの再帰的結合により生成できるというように提案仮説を精緻化した。 再帰的結合が仮説生成に関わることを示すLEGOブロックを使って作品を作成する実験とその分析を進めた。個人が直感的に作品を作る「プレイ」が個人間のインタラクションにおける創造性にどう係わるかを検討した。その結果、個人のプレイはインタラクションにおける仮説を含むアイデア生成を促進することが示唆された.そして、この実験におけるLEGOブロックの操作方法として再帰的結合を行うかどうかを独立変数とする新たな実験をデザインし、再帰的結合と仮説生成の関係を直接検討する基盤を作った。 意図推定に関連するHAI実験として再帰的結合と関連して概念融合を促すロボットとの対話、そして、身体情動反応と関連してかけがえのない存在と感じさせるロボットとの相互作用に関する実験のデザイン、ロボットのプログラミング、予備実験を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の計画は、A)意図推定にアブダクションが関わることを示すHAI実験、B)再帰的結合が仮説生成に関わることを示すプライミング実験・脳波計測、C)Embodied Simulation・身体情動反応の情報と仮説選択の関係を調べる言語進化実験・脳波計測、D)再帰的結合・ES・身体情動反応の情報を統合した計算モデルの構築という、4つの柱からなる。A~Cはいずれも人を実験参加者とする実験が含まれるが、2020年度からのコロナ禍によりそのような実験の実施可能性が不透明となり、実験の準備が大きく遅れることになった。 そのような状況下でも、実験内容の再検討を行うことで、意図推定に係わるHAI実験および情動反応に係わるHAI実験のデザインと予備実験を実施し、再帰的結合に係わる実験についても基盤となる実験の分析を進めそこに再帰的結合をどう採り入れるかの考察・実験デザインを進めた。しかし、これらの課題で脳波計測を行う実験については、検討を進めることができなかった。 計算モデルの構築については、リザーバ計算やリカレントニューラルネットワークなどの機械学習のモデルで再帰的結合を表現するために基礎的検討を進めたが、実装までには至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
この意図推定に関する提案仮説の主要部分について、人間エージェント相互作用(HAI)、共創的コミュニケーションにより実証的証拠を積み上げ、仮説と実験結果に基づいた計算モデルを構築・分析する。 具体的には今年度は以下の3点を進める。 A)ロボットや人工エージェントの概念の提案や説明で、矛盾していたり単純に意味が取れないような発話をしることで、概念融合が促され対象が心を持つ存在であるとみなす程度がどのように影響を受けるかについて、人間・ロボット相互作用実験による実験を進める。 B)LEGOブロックを用いた共創的コミュニケーションに実験で、再帰的結合をする場合としない場合、手でブロックを操作する場合と仮想環境でブロックを操作する場合に仮説生成を含む創造性がどのように変化するかを実験的に検討し、再帰的結合が仮説生成に関わることを示す。また、物体の再帰的結合の進化についての検討も進める。 D)物体操作およびその対象の抽象化として、目的手段レパートリーの再帰結合による仮説生成、それによる他者の意図推定やメンタルシミュレーションを可能とするモデルを構築し、分析を進める。 上記研究の成果を、国内学会、国際会議、およびジャーナルにおいて発表する。
|
Research Products
(10 results)