2022 Fiscal Year Annual Research Report
Inconvenient truth of autonomous driving--Automatic detection and prevention of driver's motion sickness
Project/Area Number |
20H04270
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉澤 誠 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 学術研究員 (60166931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 明 福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (10323057)
八巻 俊輔 東北工業大学, 工学部, 准教授 (10534076)
湯田 恵美 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50771763)
山家 智之 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (70241578)
杉田 典大 東北大学, サイバーサイエンスセンター, 教授 (90396458)
山邉 茂之 岩手県立大学, ソフトウェア情報学部, 准教授 (90533670)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 自動運転 / 乗り物酔い / 交通事故 / モーションベース / 不完全自動運転 / 前庭感覚 / 映像脈波 / Mayer波 |
Outline of Annual Research Achievements |
不完全な自動運転は,運転者の乗り物酔いのリスクを高める可能性があるため,交通事故を誘発する恐れがある.そこで本研究では,不完全な自動運転中の運転者の乗り物酔いの発症条件の解明とそれに伴う交通事故との因果関係を明らかにするとともに,乗り物酔いを低減する自動車に具備すべき具体的手段を得るための研究を行うことを目的とした. 本年度では,不完全自動運転中における乗り物酔いの症状を自動車内で簡易計測するための基礎的な技術開発を行った. 乗り物酔いに関する従来の研究では,計測量として心電図信号や光電脈波信号がよく用いられてきたが,車内での簡単な計測には不向きである.一方,身体の皮膚の映像から得られる映像脈波を用いれば,ドライブレコーダやスマートフォンだけで乗り物酔いの状態を把握できるようになる可能性がある.しかし,実際の走行中の自動車においては照度および振動・体動により計測誤差が非常に大きくなるばかりでなく,運転者に対して計測行為自体が心理的ストレスとなり,実験結果の明確な検討を妨げやすいことが予測される. そこで本研究では,走行中の計測は行わず,走行前後での実験結果を比較することで,乗り物酔いの症状の影響を定量化することを試みた.実験において被験者は自動車の後部座席に着席し,背もたれの後ろにカメラと照明用リングライトを固定した.顔を撮影したカメラからの映像に基づき,顔検出・色相限定・画面安定化・対象領域の緑色成分平均処理を行って映像脈波を求めた.この信号を0.1Hz近傍に帯域制限することでMayer波成分時系列を求めるとともに,映像脈波から心拍間隔・脈波振幅時系列を算出し,その線形補間信号を等間隔で再サンプリングし,その移動窓データに対する周波数スペクトルからいくつかの自律神経系指標を求めるソフトを開発中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の概要で述べたように,自動車内においても被験者に生体センサを一切装着せずに,ビデオカメラで撮影した顔映像のみから脈波信号を取得するためのソフトウェアのプロトタイプが一部完成している.現在,その妥当性を検証するために,従来の接触式センサである心電計と耳朶脈波計を参照信号として同時計測をするための基礎実験を行っており,実験結果の解析が進んでいる. また,自動運転環境における運転者モニタリングシステムを開発中の企業と共同研究を行うための契約締結の準備も進めている.これが順調に進展すると,道路交通法の改正が予定されている2023年4月以降には,レベル4の自動運転が可能な自動運転車の調達が可能となり,東京都汐留地区における許可を受けた公道での実車実験が可能になることが予想されている. 以上のように,本研究の目的を達成するための準備が整いつつある.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度は,主として,不完全自動運転中における乗り物酔いの発症条件の実験的解明に有用な,接触式センサが不要な生体情報計測システムのソフトウェア開発を行うとともに,その妥当性検証のための基礎実験を進めてきた.今後,この成果と,2023年4月以降に予定されている自動運転環境における運転者モニタリングシステムを開発中の企業から提供される自動運転車の調達が可能となれば,実車による自動運転および手動運転における乗り物酔いの定量的判定を検証するための実験基盤が整うと予想される. ただし,実車実験においては,被験者に対して酔いの症状を呈するような環境を与える介入実験となるため,被験者の安全と健康を担保するための対策を十分構築するとともに,医師または看護師に立ち合いを求めるような実験環境を整える必要がある.現在,そのための「工学研究科人を対象とする医学系研究に関する倫理委員会」に実験承認のための申請書を作成中であり,来年度に申請を行う予定である.
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