2020 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of logical thinking ability from online handwritten data
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20H04292
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山名 早人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40230502)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オンライン手書きデータ / 幾何学問題 / ヒント参照 / 部分点 / 難易度 |
Outline of Annual Research Achievements |
オンライン学習では、学習者個人個人の理解度に合わせた適切なフィードバッ クを自動生成することが求められる。そこで本研究課題では、最終目標としてオンライン手書きデータを用いた論理的思考力の推定を目指している。論理的思考力を明かにするためには思考過程の見える化が求められる。そこで初年度は、数学幾何学問題を対象として、(1)各種判定に必要となる有効な特徴量の選定、(2)部分点を付与可能かどうかの検証の2点を進めた。
まず、特徴量の選定は、「幾何学問題解答時のヒント参照有無の判定」を題材として進めた。具体的には、解答者が「ヒントを参照したか否か」に有効な特徴量を Recursive Feature Elimination(RFE)により判定した。本学36名の学生に対し、幾何学5種類の単元(並行と合同、図形の性質、円、相似な図形、三平方の定理)から各4 問の合計20題を解答してもらい、問題難易度毎に調査した。結果、難易度によらずヒント参照前後での特徴量に差が出るものは「筆記速度平均」であり、難易度が高い問題に対してのみ特徴量に差がでるものは「ストロークの時間間隔平均、標準偏差」「ストローク間移動距離平均、最大値」であった。以上から、幾何学問題解答時の挙動解析では問題難易度を考慮する必要があることがわかった。
次に、論理的思考力判定にあたり、「考え方は正解であるがケアレアスミス等で最後の解答を間違った」ような場合の判定が可能かについて検証を行った。大学生20名から5題の幾何学証明問題解答時のストロークデータを収集し解析した。結果、ケアレスミスをした解答を「本来であれば完答することのできた解答である」と仮定した場合、「完答できた解答」か「部分点を付与すべき解答」かの分類において、0.833の正解率を得ることができることを確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題が最終目標としている「オンライン手書きデータを用いた論理的思考力の推定」に関して、今年度の研究成果を通して(1)問題難易度によってオンライン手書きデータの特徴量が変化すること、(2)ケアレアスミスといって論理的思考力とは別次元の理由による解答データは、オンライン手書きデータの解析時には正解側に判断できること、の2点を確認することができた。これによって、次年度以降の指針を得ることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見である(1)問題難易度によってオンライン手書きデータの特徴量が変化すること、(2)ケアレアスミスといって論理的思考力とは別次元の理由による解答データは、オンライン手書きデータの解析時には正解側に判断できること、の2点を前提に今後の研究を推進する。
まず、難易度とオンライン手書きデータとの関係を詳細化する。特に難易度は問題自体が持つ静的な難易度と解答者のレベルに依存した相対的な難易度があるため、判定に用いる特徴量と問題難易度との関係の詳細化を行う。次に、解法戦略としてどのような定理(三角形の合同、円周角定理等)を用いて解答をしているかを判定するための手法に取り組む。
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