2021 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of logical thinking ability from online handwritten data
Project/Area Number |
20H04292
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山名 早人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40230502)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | オンライン手書きデータ / 幾何学問題 / 角度記号 / 読解力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では最終目標として「オンライン手書きデータを用いた論理的思考力の推定」を目指しており、思考過程の見える化を目標としている。2021年度は2020年度に引き続き「数学幾何学問題」を主に対象として、(1)各種判定に必要となる有効な特徴量の抽出、(2)問題難易度がストローク特徴量に与える影響調査を行うと共に、(3)発展的な課題として文章読解力判定の基礎研究を進めた。
まず、各種判定に必要となる有効な特徴量として、幾何問題中の図形に書き込まれるストロークの内、角を表現する記号を選定し、693枚の学習用データセット(本研究で収集)から9種類の記号を分類した。記号の大きさ・向きに依存せずに記号の種類を特定するため、SIFT特徴量を抽出し自動分類器を構築し、0.79のF値で記号の分類を達成した。これをもとに「円周角の定理」を利用した解答の自動分類を行い18人の解答中、10人の解答の自動C集出に成功した。 次に、2020年度の研究成果から得られた知見「問題難易度によりストローク特徴量が変化し、これが論理的思考力判定精度に影響を与える」に基づき、2021年度は幾何問題の難易度(易問・難問・それ以外)により「学習の定着(2週間の間隔を空けて問題理解が定着したかどうかを判定)」判定精度への影響を調査した。結果、易問・難問ではストロークの記述量が少なくなり判定が困難になるが、易問・難問以外においては、学習者自身の定着判定に比較して良好な推定結果を出すことができることを確認した。 最後に、論理的思考力を測る他の方法として文章読解力を推定できるかどうかという基礎研究にも取り組んだ。具体的には、長文を読む際の視線の動き(視点停留、視線飛躍)をもとに読解力推定(被験者29名)を行い、3値分類(読解力高・中・低)において正解率68%の結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題が最終目標としている「オンライン手書きデータを用いた論理的思考力の推定」に関して、今年度の研究成果を通して次年度以降のさらなる発展を目指し「ストロークからの角度記号抽出」を完了させると共にその有効性を示すことができた。また、問題難易度によってオンライン手書きデータの特徴量が変化することをデータとして確認し、今後の研究への発展へつなげることが可能となった。さらに、発展的課題として読解力の推定にも取り組み、ストロークに加えて視線情報からの判定可能性を示すことができた。これによって、次年度以降の指針を得ることができたことから、おおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた知見である(1)角度記号により論理的展開を推定可能となること、(2)問題難易度が高い場合や低い場合よりも「学習者自身が正しく理解定着を判断できない難易度が中の問題」に対する自動判定が重要となること、(3)視線も一つの特徴量として利用可能であること、の3点を前提に今後の研究を推進する。 特に、(1)の成果に基づき、角度記号に加えて、「平行」「辺長」を示す記号の自動抽出に取り組み、論理的展開の推定をより確実なものにすることと、問題難易度別に自動判定結果を確認していくことを目指す。
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