2021 Fiscal Year Annual Research Report
バイカル湖で解き明かす環境変動によるメタンハイドレート分解と温室効果ガスの放出
Project/Area Number |
20H04304
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 尚嗣 北見工業大学, 工学部, 教授 (40241426)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイカル湖 / メタンハイドレート |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に沿って、研究調査に関する準備会議をイルクーツクでの会議(2019年度)およびその後の電子メール会議として実施して運営委員会を設置した。 2020年度はロシア連邦における新型コロナウイルス感染拡大防止措置により当初計画より大幅に縮小した調査のみの実施であったが、得られた物理探査データおよび採取コア試料の予備的な解析結果そしてこれまでの物理探査データ等を合わせて、調査候補サイトを決定し、海外共同研究者・機関と合意した。 しかし2021年度もロシア連邦における新型コロナウイルス感染拡大防止措置として渡航者入国・滞在に対して法的な制限が設けられ、申請者らはロシア連邦へ入国できなかった。このような状況下ではあったが、ロシア科学アカデミーの共同研究者によるバイカル湖調査を実施した。当初計画に比べて内容と規模を縮小せざるを得なかったが、交付申請書に記載した研究目的および実施計画に沿って、環境変動によって湖底表層に存在するメタンハイドレート(MH)分解の可能性がある湖底域について、2021年6月に調査船を用いた事前調査として物理探査を実施して詳細な湖底3次元マップの作成に成功した。この情報をこれまでの情報に加えて調査候補水域を更新し、6月と8月にロシア科学アカデミーの現地共同研究によって調査船を用いた湖底表層堆積物コア採取に基づく調査を実施した。 その結果、2019年の予備調査で発見した湖底表層型MH存在域において2020年度調査で新たに2箇所のMH存在域、そして2021年度には更に3箇所のMH存在域を発見した。MH存在域の一部の領域において、地温測定の予備調査にも成功した。2019年度の予備調査および2020年度と2021年度の規模を縮小した調査では、2019年度に発見したMH域が楕円形のマウンド状の形状をしていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2021年度も新型コロナウイルス感染拡大防止措置に伴い、申請者が所属する大学でも2019年度までと同様の研究室活動をおこなうことはできず国内研究の進捗が遅れた。新型コロナウイルス感染拡大は本研究対象バイカル湖があるロシア連邦では日本以上に深刻だったため、日本を含む海外からの渡航者入国・滞在に対して法的な制限が設けられ、申請者らはロシア連邦への入国ができなかった。 このような状況においても、ロシア科学アカデミーに所属する本研究の共同研究者の協力を得てバイカル湖において調査を実施したが、当初計画を大幅に縮小せざるを得ず、その結果として現在までの進捗状況は大きく遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に沿って、研究調査に関する準備会議を電子メール会議として実施して運営委員会を設置する。 2019年度の予備調査および2020年度と2021年度の規模を縮小した調査では、MH域がマウンド状の形状をしていることを明らかにした。MH存在域におけるコア採取位置はマウンドの周囲に分布しているが、一方でマウンドの頂上部付近からはMH含有堆積物コアは採取されていない。MH安定領域境界に存在する本調査マウンドではわずかな高低差がMH分布を規定しているとの解釈が可能であるが、今後の調査における詳細な物理探査、コア採取およびコア解析、地温測定等に基づく湖底下の流体移動と温度分布の解明などを含めた総合的な理解が必要である。 一方、マウンドとその周囲では水温と水深から算出されるMH安定領域の境界とMH存在域の境界が一致する場合だけではなく安定領域から外れた条件・水深においてもMH存在が確認され、環境変動とMH分解に関する知見を得る貴重な調査対象MH存在域と考えられる。2022年度調査では、2019年度から2021年度までの予備調査結果と、比較のための他の水域での物理調査データおよび化学分析データそして文献情報等を合わせて、湖底表層堆積物コア採取に基づく調査候補域を決定する。2020年度からのロシア連邦による新型コロナウイルス感染拡大防止措置により本研究の進捗状況は大きく遅れていることから、調査回数を増やすために夏季調査に加えて冬季結氷後の氷上からの湖底調査についても立案する。 ロシア連邦において新型コロナウイルス感染拡大防止措置として渡航者入国・滞在に対して法的な制限が2022年度も続く場合は、ロシア科学アカデミーに所属する本研究の共同研究者の協力を得て、当初案の段階から規模と内容を縮小して立案した上で現地共同研究者によるバイカル湖調査を実施する。
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[Journal Article] Long-lived center for gas-fluid emanations on the western slope of the Kurile Basin (Sea of Okhotsk)2021
Author(s)
Derkachev, A. N., N. A. Nikolaeva, I. B. Tsoy, B. V. Baranov, N. N. Barinov, A. V. Mozherovsky, A. A. Krylov, A. B. Kusnetsov, H. Minami, A. Hachikubo
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Journal Title
Lithology and Mineral Resources
Volume: 56
Pages: 309-332
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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