2022 Fiscal Year Annual Research Report
バイカル湖で解き明かす環境変動によるメタンハイドレート分解と温室効果ガスの放出
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20H04304
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 尚嗣 北見工業大学, 工学部, 教授 (40241426)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | バイカル湖 / メタンハイドレート |
Outline of Annual Research Achievements |
交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に沿って、研究調査に関する準備会議を電子メール会議として実施して2022年度の本研究の運営委員会を設置した。 2019年度の予備調査および2020年度と2021年度の規模を縮小した調査では、2019年度に発見したメタンハイドレート(MH)存在域がマウンド状の形状をしていることを明らかにした。2019-2021年度調査で明らかにしたMH存在域におけるコア採取位置はマウンドの周囲に分布しているが、一方でマウンドの頂上部付近からはMH含有堆積物コアは採取されていない。一方、マウンドとその周囲では水温と水深から算出されるMH安定領域の境界とMH存在域の境界が一致する場合だけではなく安定領域から外れた条件・水深においてもMH存在が確認され、環境変動とMH分解に関する知見を得る貴重な調査対象MH存在域と考えられる。2022年度調査では、2019年度から2021年度までの予備調査結果と、比較のための他の水域での物理調査データおよび化学分析データそして文献情報等を合わせて、湖底表層堆積物コア採取に基づく調査候補域を決定し、海外共同研究者・機関と合意した。 しかし、2022年度はロシアによる軍事行動以降にロシア連邦を取り巻く国際的な状況が2021年度まで(2022年2月まで)と大きく変わり、申請者らは2022年度もロシア連邦への入国ができなかった。 このような状況下ではあったが、当初計画に比べて内容と規模を縮小せざるを得なかったものの、交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に沿って、ロシア科学アカデミーの共同研究者によるバイカル湖調査を立案して調査実施の合意の下に準備を進めた。しかし直前になってロシア科学アカデミーの共同研究者の都合により、調査船を用いた調査および氷上調査を含む今年度予定の全ての調査が実施できないことが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大は本研究対象バイカル湖があるロシア連邦では日本以上に深刻だったため、日本を含む海外からの渡航者の入国および滞在に対して法的な制限が設けられ、申請者らはロシア連邦への入国ができない状況が続いた。このような状況下ではあったが、ロシア科学アカデミーの共同研究者によって2020年度と2021年度にバイカル湖の調査対象のメタンハイドレート存在水域において、交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に沿って物理探査と湖底表層堆積物コア採取に基づく調査を実施した。しかしその調査は、当初計画に比べて内容と規模を大幅に縮小せざるを得ず、その結果として進捗状況は大きく遅れていた。 2022年度はロシアによる軍事行動以降にロシア連邦を取り巻く国際的な状況が2021年度まで(2022年2月まで)と大きく変わり、申請者らは2022年度もロシア連邦への入国ができなかった。 このような状況下ではあったが、当初計画に比べて内容と規模を縮小せざるを得なかったものの、交付申請書に記載した研究目的および研究実施計画に沿って、ロシア科学アカデミーの共同研究者によるバイカル湖調査を立案して調査実施の合意の下に準備を進めた。しかし直前になってロシア科学アカデミーの共同研究者の都合により、調査船を用いた調査および氷上調査を含む今年度予定の全ての調査が実施できないことが判明し、その結果として進捗状況は大きく遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度のバイカル湖調査は、直前になってロシア科学アカデミーの共同研究者の都合により調査船を用いた調査および氷上調査を含む全ての調査が実施できなくなった。本研究の遂行上、メタンハイドレートが存在する水域での調査が不可欠であるが、バイカル湖における調査を実施できる見通しがたたないことがわかった。 そこで調査が実施可能な日本周辺のメタンハイドレート存在海域における調査船を用いた調査に変更する必要が生じた。本研究目的に適する海域の選定対象としては、本研究代表者らが北海道周辺海域で発見したメタンハイドレート存在域である。これまでに北海道周辺海域としては網走沖、十勝沖そして日高沖において調査を実施しており、それらのメタンハイドレート存在海域の中で最も水深が浅く本研究目的に最適と考えられる海域を選定して代替調査を実施する。 それぞれの水域においてこれまでの調査で作成した予備的な海底3次元マップと、これまでの物理探査データ等を合わせ、海底表層堆積物コア採取に基づく調査候補水域を決定する。この決定を基に調査計画を立案し、調査船の傭船日程、事前準備の日程、国内共同研究者の参加者、作業内容等を決定し、調査船を用いた海底表層堆積物コア採取および物理探査に基づく研究調査を実施する。調査日程としては、海況等を含めた調査可能時期および必要とする器具・装置・性能等を有する調査船の手配の都合上、調査可能時期は令和5年8月から10月に実施する計画を立案する。2022年度の本研究費は次年度へ繰越して調査を実施する。さらに、比較対象のメタンハイドレート存在海域として、本研究代表者が所属する大学の経費を使った調査(令和5年11月)の計画も立案する。 調査時に採取する試料は本申請研究の研究実施計画に沿って調査船内等で前処理・現場測定を実施し、サブサンプリング試料は本研究代表者の所属大学にて各種解析を実施する。
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[Journal Article] Impact of high methane flux on the properties of pore fluid and methane-derived authigenic carbonate in the ARAON Mounds, Chukchi Sea2022
Author(s)
Kim J.-H., Park M.-H., Lee D.-H., Minami H., Jin Y.-K., Hachikubo A., Hur J., Ryu J.-S., Kang M.-H., Jang K., Kida M., Seo Y., Chen M., Hong J. K., Song Y., Park S.
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Journal Title
Frontiers in Marine Science
Volume: 9
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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