2021 Fiscal Year Annual Research Report
深海に広がるマンガン酸化鉱物の種「微小マンガン粒」の生成・保持機構の解明
Project/Area Number |
20H04308
|
Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
浦本 豪一郎 高知大学, 教育研究部総合科学系複合領域科学部門, 講師 (70612901)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 微小マンガン粒 / 微小金属鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、代表者の研究で深海底地層から発見したマンガンを主成分として、金属を濃縮したミクロスケール微粒子「微小マンガン粒」の形成海底や、金属微粒子が長期的に海底地下に保持される仕組みの検討を進めている。研究を進めるにあたり、微小マンガン粒は結晶性が低い・酸化還元の化学状態変化が起きやすいなど、そもそもの解析自体が難しいことがネックとなってきた。これまで直面し続けた困難を踏まえて、2021年度での取り組みでは、分析の前処理で問題となっていたと考えられる点を洗い出し(光還元を起こす可能性のあるレーザー光や電子線照射)、これらの処理過程の無いをサンプル処理による試料分析を実施した。その結果、長年の課題であった科学的な状態変化のないマンガン微粒子の解析に成功した。これにより、微小マンガン粒の局所分析によって、地層の環境状態を把握する基礎を確立することができた。 さらに、これまでに検討・確立してきた地層中に含まれる微小な金属鉱物解析技術を、深海底地層環境中の鉱物資源だけでなく、伝統工芸との融合研究で、高知県で生産されている「土佐硯」の原石となる粘板岩への分析に提要下。この研究では、硯石の原石分布の地質調査を進めると共に、微小鉱物解析に適用する新たな研究への取り組みを進めた。その結果、硯石に含まれる微小な金属鉱物の同定や、炭質物分析を通して、土佐硯に限らない西日本の太平洋側に分布する硯の原石の形成過程の解明など、応用的な研究に着手した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度の目標であった微小なマンガン鉱物の化学状態の変化を起こさずに試料解析可能な試料処理、分析手法を確立できたため。また、これまで確立した地層に含まれる微小領域の鉱物解析技術を、伝統工芸品の硯石解析に適用するなど、新たな研究につなげることができたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築した技術を様々な海底地層中の微小マンガン粒の分析に適用し、微小な金属鉱物粒子解析から分かる地層環境の特徴を類型化することを目的に研究を行う。 さらに微小な金属鉱物解析手法を、硯工芸との新たな異分野コラボレーション研究に応用し、これまで見過ごされていた地質資源の普及・利用の先鞭をつける取り組みを進める。
|
Research Products
(3 results)