2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an online analysis method for measuring refractory sulfate and organic aerosols
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20H04310
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
竹川 暢之 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (00324369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三澤 健太郎 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (10431991)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 環境分析 / 難揮発性エアロゾル / 質量分析計 / 熱脱離 / オンライン分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
エアロゾルの直接・間接効果は気候変動予測において重要である。本研究では、レーザー脱離型エアロゾル質量分析計を構築し、難揮発性成分を含む硫酸塩・有機エアロゾル濃度のオンライン定量法を確立することを目的としている。 当該年度は、実大気観測で想定される複雑な化学組成を有する混合粒子の分類定量法の開発を行った。特に、海塩粒子の主成分であるナトリウム塩とバイオマス燃焼粒子の主成分であるカリウム塩を化学種別 (硫酸塩、硝酸塩、塩化物) に定量する方法の開発を中心に行った。レーザー照射時間の1分間にレーザー強度を二段階で変調する方法を新たに考案し、揮発温度の低い順に硝酸塩、塩化物、硫酸塩由来のイオン信号を分離して検出するための最適なレーザー強度の組み合わせを見出した。ただし、硝酸ナトリウムと塩化ナトリウムの内部混合粒子では、m/z 23 (Na) で見た場合に相互干渉による影響が無視できないことが分かった。この解決策として、複数のイオン信号から最小二乗法によって最適解を推定する方法を検討している。 さらに、実大気連続観測に向けて、真空制御、粒子捕集、回転導入端子調整、レーザー照射、信号取得を自動化するためのハードウェアを開発し、東京湾に近い東京海洋大学で試験観測を実施した。現段階では粒子導入部の空気力学レンズが粗大粒子用に最適化されていなかったために、海塩粒子由来の信号を検出することは困難であったが、微小粒子の主成分である硫酸アンモニウム粒子が定常的に検出されるとともに、塩化アンモニウム粒子も有意に検出された。東京都立大 (八王子) における予備観測では塩化物が見られなかったことから、海塩粒子と硫酸・硝酸の反応で生成した塩化水素から生成した可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で延期した前年度の研究内容の一部を実施したため、年度当初においては研究の遅れがあった。当該年度も感染が終息しなかったために研究活動には大きな制約があったものの、大学院生をはじめ研究協力者を増員して研究を加速させることで、概ね当初の目標を達成することができた。総合的に見て順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
実大気で想定される無機エアロゾルおよび有機エアロゾルの混合粒子の分類定量法の開発を継続する。また、粗大粒子側に多く存在する海塩粒子を効率的に捕集・検出するためのエアロダイナミックレンズの開発も行う。全体システムを制御するためのソフトウェアの開発も行い、大気観測装置として完成させる。春季に東京都立大構内で大気観測を実施するとともに、海陸風の卓越する夏季・秋季に東京湾近傍で大気観測を行うことを計画している。気象場や前駆気体濃度との関係について解析を行い、硫酸塩エアロゾルの化学種別の濃度変動および有機エアロゾルの揮発性別の濃度変動を明らかにすることを目指す。
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Research Products
(3 results)