2020 Fiscal Year Annual Research Report
Evaluation of bioaerosol emission and resuspension of radioactive cesium emitted by Fukushima nuclear power plant accident from forests
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20H04318
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北 和之 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (30221914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
保坂 健太郎 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (10509417)
石塚 正秀 香川大学, 創造工学部, 教授 (50324992)
森野 悠 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境研究センター, 主任研究員 (50462495)
反町 篤行 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (60466050)
牧 輝弥 近畿大学, 理工学部, 教授 (70345601)
渡辺 幸一 富山県立大学, 工学部, 教授 (70352789)
五十嵐 康人 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (90343897)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | バイオエアロゾル / 放射性セシウム / フラックス測定 / 森林放出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、以下の5つの達成目標を掲げている。各目標についての実績を示す。 1)バイオエアロゾル捕集フィルタの蛍光分析により濃度・構成を測定する手法開発:実験室でバイオエアロゾルを捕集したフィルタに複数の波長の紫外光を照射し、バクテリア、真菌、花粉など種類ごとに特有の蛍光スペクトル強度分布をもつこと、真菌胞子についてスペクトル強度と胞子量が比例関係にあることが確認できた。 2)林床及び樹冠部におけるバイオエアロゾルの種類ごとの放出量の季節及び短期変化の理解、3)森林内およびその上方へのバイオエアロゾル放出フラックスの定量的理解、4)福島帰還困難地区内森林からのバイオエアロゾルによる放射性セシウム放出の定量的理解:この3目標の研究実施のため帰還困難地区内の林地に観測サイトを新たに立ち上げし、観測装置を設置し定期的な大気放射能およびバイオエアロゾルサンプリングを開始した。また既存サンプルおよびデータをもとに、バイオエアロゾルと放射性セシウムの定量的関係の解析を進めている。特に森林からのバイオエアロゾル放出フラックスについては、林床および樹冠上でのバイオエアロゾル濃度とREAサンプリングの試験的な観測結果をもとに、林床からの放出フラックスを推定するとともに、樹冠を通じ森林上へと放出される割合は約5%であると推定を行い論文にまとめた。 5)森林からのバイオエアロゾル・放射性セシウム放出のモデル化の検討:モデル化に加え、モデルの検証のためにどのような観測を行うべきかの検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染防止のため、昨年度前半には実験や観測をほとんど実施できなかった。そのため、1)バイオエアロゾル捕集フィルタの蛍光分析により濃度・構成を測定する手法開発 への着手が遅れ手法確立には至らなかった。 また同様にコロナウィルス感染防止のため野外活動が大きく制限を受けたため、2)林床及び樹冠部におけるバイオエアロゾルの種類ごとの放出量の季節及び短期変化の理解、3)森林内およびその上方へのバイオエアロゾル放出フラックスの定量的理解、4)福島帰還困難地区内森林からのバイオエアロゾルによる放射性セシウム放出の定量的理解、の3目標の研究実施のための観測サイトの設営にも時間がかかり、ようやく2020年末からサンプリングが開始できるようになった。 このようにデータ取得の開始が遅れたため、そのデータ解析にもようやく着手できたところである。 その結果がまだ得られていないため、5)森林からのバイオエアロゾル・放射性セシウム放出のモデル化の検討 についても着手が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、これまでの遅れを挽回すべく、以下のように実験、観測およびそのデータ解析を精力的に実施する予定である。 1)バイオエアロゾル捕集フィルタの蛍光分析により濃度・構成を測定する手法開発 のための実験を昨年度より実施しており、様々な種類のバイオエアロゾル粒子についてのデータの蓄積を進め、今年度前半の確立を目指す。 2)林床及び樹冠部におけるバイオエアロゾルの種類ごとの放出量の季節及び短期変化の理解、3)森林内およびその上方へのバイオエアロゾル放出フラックスの定量的理解、4)福島帰還困難地区内森林からのバイオエアロゾルによる放射性セシウム放出の定量的理解、の3目標については、既に冬季と春季の集中観測を実施し、梅雨期および下記の観測も計画している。これらにより必要なデータが得られるため、今年度後半にそのデータ解析を進めていく。 その結果を元に、5)森林からのバイオエアロゾル・放射性セシウム放出のモデル化の検討 についても進めていく。
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