2020 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼中の難分解性有機物の産生はウイルスによって加速されるか?
Project/Area Number |
20H04323
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 芳久 京都大学, 工学研究科, 教授 (20226260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 知成 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50273488)
沈 尚 京都大学, 工学研究科, 研究員 (20882426)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細菌 / 単離 / ウイルス / 琵琶湖 |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌およびファージの単離を実施した。細菌についてはLB培地(1000分の1程度に希釈)を用いて現場水温で培養した。最大で1ヶ月ほど培養した後、コロニーを得た。コロニー中の細菌細胞を純化させるため、同条件でさらに2回培養し、単離株とした。合計で126の細菌株を得ることが出来た。これらについては、全て16S rRNA遺伝子を対象としたアンプリコンシーケンス(V3、V4領域、MiSeq、Illumina)を実施し、種を同定した。これら126ほどの菌株から同種のものを取り除いた100種程度を対象として、ウイルスの単離を実施した。前培養した宿主を含む寒天プレート状に、琵琶湖水(採水後、30kDaの限外ろ過フィルターを用いて50倍程度濃縮したもの)を塗布し、最大1ヶ月ほど現場水温で培養した。一つの寒天プレートに対して複数のプラークが出来た場合には、最大10個のプラークを採取した。得られたプラークはさらに宿主株および寒天培地を用いて、純化した。その後、寒天培地と同成分の液体培地および宿主株を用いてウイルスを複製した。複製後、孔径0.2 μmのフィルターでろ過し、塩化セシウム密度勾配超遠心法を用いて精製し、ウイルス株とした。得られたウイルス株からDNAを抽出し、ショットガンシーケンス(MiSeq、Illumina)に供した。得られたraw readsのうちハイクオリティのものを対象にアッセンブルし、ウイルスコンティグを得た。 琵琶湖から21組の宿主―ウイルス株を得ることが出来た。これらにはActinobacteria、Alphaproteobacteria、Gammaproteobacteria、Bacteroidetesが含まれていた。これらのうち2組は実際に琵琶湖で優占(相対存在量が1%以上)する種であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定であった琵琶湖で優占する細菌および感染ウイルスを単離できたため、順調に進展していると言える。現在は、琵琶湖と同じ環境で(琵琶湖水をそのまま使用して)培養しており、今回得ることができなかったグループの細菌の単離を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進行している培養実験を継続し、琵琶湖の難培養微生物の単離を試みる。また得られた細菌株については、溶菌由来有機物の特性把握や分解性試験に向けた予備実験を実施する予定である。
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