2021 Fiscal Year Annual Research Report
湖沼中の難分解性有機物の産生はウイルスによって加速されるか?
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20H04323
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 芳久 京都大学, 工学研究科, 教授 (20226260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 知成 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50273488)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 溶菌由来有機物 / 細菌 / ファージ |
Outline of Annual Research Achievements |
細菌およびファージの単離:Sphingomonadaceae科(Alphaproteobacteria)の細菌を3種単離した。またこれに感染するウイルスも2種単離することが出来た。これらのウイルスには感染中に宿主の代謝を促進させる遺伝子がコードされていた。 溶菌由来有機物の調製:大腸菌および大腸菌ファージをモデルとして、ウイルスによる溶菌由来有機物の調製を試みた。大腸菌の培養では、培地由来の有機物を極力除去するために、無機塩培地を用いた。有機基質としてグルコースを採用した。また大腸菌バイオマスを得るための培養条件を初期グルコース濃度や温度、培養時間などを変えて検討した。 さらに、グルコース培地に前培養した大腸菌を添加する際、前培養で使用したLB培地を取り除く必要がある。その際の洗浄条件(遠心条件や回数)も検討したところ、LB培地由来の有機物をMQと同等のレベルまで除去できていることを、有機炭素濃度を測定して確認した。 ウイルスについても同様に、添加時のLB培地の影響を最小限にするために洗浄条件を検討した。遠心式限外ろ過フィルタユニット(30kDa)を用いた培地交換では、洗浄回数を検討した。また他の手法として塩化セシウムを用いた超遠心密度勾配法およびその後の遠心式限外ろ過フィルタユニットによる培地交換(塩化セシウムから無機塩培地)を検討し、有機炭素濃度で評価した。遠心式限外ろ過フィルタユニットでは、培地成分が十分に除去できないことが明らかとなった。塩化セシウムを用いた超遠心密度勾配法で先にウイルスを精製し、培地成分を十分に取り除いた後に、塩化セシウムを無機塩培地に置換することで、有機炭素濃度を超純水と同等の濃度に抑えることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、研究2年目に溶菌由来有機物を調製するための基盤となる培養条件や精製方法を決定することが出来た。最終年度には、これらの条件をもとに溶菌由来有機物を調製し、生分解性試験を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の方法で培養した大腸菌にウイルスを感染させ、溶菌由来有機物を得る。得られた溶菌由来有機物について、三次元蛍光分析や分子量分布、アミノ酸組成を測定する。また得られた溶菌由来有機物を琵琶湖細菌群集に添加し、分解性を明らかにする。
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