2023 Fiscal Year Annual Research Report
ヒストンH2AXによる遺伝子発現制御機構と新規ゲノム安定性機構ネットワークの解明
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20H04331
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
中村 麻子 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (70609601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | DNA損傷 / ヒストン / 遺伝子発現制御 / 上皮間葉転換 / 相同組換え修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
DNA二本鎖切断修復において最も重要な役割を有するタンパク質の一つであるヒストンH2AXが、DNA損傷修復における足場的機能だけではなく、クロマチン制御による遺伝子発現制御機能も有することを示唆するデータが近年報告された。そこで我々は先行研究として、H2AX欠損細胞における遺伝子発現レベルの変化を、RNAシークエンスによって網羅的に解析した。その結果、驚くべきことに、DNA損傷の相同組換え修復に関与する遺伝子の発現が有意に上昇していることが明らかとなった。さらに、これら修復関連遺伝子の発現制御を行う候補転写因子として、上皮間葉転換経路の転写因子などが同定された。そこで、本研究計画ではH2AXによる遺伝子発現制御を解明することを最終目的として、H2AXタンパク質のDNA損傷修復機構における新しい分子機能を明らかにし、DNA損傷修復経路と上皮間葉転換経路という発がんにおける重要な経路をつなぎ合わせる新しい分子ネットワークの存在を明らかにする。2023年度は以下に掲げる研究項目を実施し成果を得た。 【H2AX依存的な相同組換え関連タンパク質発現制御メカニズムの明確化】 これまでにH2AX欠損のヒト細胞およびマウス細胞において遺伝子レベルおよびタンパク質レベルで発現低下するタンパク質を同定したが、今年度は、それらのタンパク質発現制御の細胞周期依存性を検討した。その結果、H2AX欠損細胞では、ある特定の細胞周期において相同組換え修復タンパク質発現が顕著に抑制されていることを明らかとした。以上の結果は、H2AXはクロマチン制御を介して、細胞周期依存的に相同組換え修復関連タンパク質の発現を制御していることを示す重要な知見である。
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Research Progress Status |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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