2021 Fiscal Year Annual Research Report
Magnetic classification of radioactive Cs-polluted soil using formation of magnetite
Project/Area Number |
20H04365
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
三苫 好治 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (20301674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 裕美 八戸工業大学, 工学部, 講師 (30823661)
奥田 哲士 龍谷大学, 先端理工学部, 教授 (60343290)
水原 詞治 龍谷大学, 先端理工学部, 講師 (70638999)
澤田 剛 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 准教授 (90240902)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 分級 / 磁力選別 / 機能性マグネタイト / 除染 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,仮置き場や中間貯蔵施設におけるセシウム汚染土壌の確実な分離/減容化技術の開発が急がれている。しかしながら,先行する湿式土壌分級においても除染土の多くを占める農地土壌の根毛等が原因で十分な除染効果が得にくい。今後,有機物を容易に除去できる加熱処理に期待が集まるものの,総廃棄物量の削減等で課題があり一層の技術革新が望まれる。そこで本研究では,比較的低温燃焼で土壌中セシウムの蒸発を抑えつつ有機物の減容化を図り,土壌分級助剤として有効な磁性物質を処理土表面に直接生成させ,土壌微粒子の乾式磁選分級により高濃度放射性セシウム土の無廃水式分離技術の開発を行う。 昨年度に引き続き令和3年度は,熱減容及び固相マグネタイト調製法の確立や最適化を進めた。特に,試薬のコストパフォーマンスを考慮し,2価鉄の硫酸塩に焦点をあてて検討を進めた。 2価鉄硫酸塩を用いた場合,塩酸塩での分級効率と比較し77.6%の効率(総量比較)に留まったものの,75μm以下のシルト成分の分離効率は,残渣土壌中のシルト成分量に比べて3.9倍量も増加することを明らかにした。このように,磁着土壌と残渣土壌に含まれるシルト成分以下の比率が,大きく偏っているため,2価鉄の硫酸塩においても,除染効果が期待できることが判明した(詳細は,以下,「8.現在までの進捗状況」に示す)。さらに,スプレー方式による試薬塗布条件の最適化も実施し,研究成果の一部は「今後の研究の推進方策」の項に示しており,次年度に本格的な検討を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各土壌の組成分析,構造解析,及び粒度分布測定をそれぞれJIS-M8853,JIS-K0131,及びJIS-Z8815に準じて行った。磁性体材料である0~7.5 mmolのFeSO4・7H2O溶液を9.0 mmolのNaOH溶液で所定のpHに調整し,そこへ10.0 gの土壌(粒径2 mm未満,24 hrs. 以上風乾)を加え,軽く撹拌後,アルゴン雰囲気下の高温度用管状炉で250℃,2時間加熱した(以降,処理土壌)。放冷後,ネオジム磁石(表面磁束密度:0.57 T)で磁力選別を行った。処理土壌については,水を用いた比重選別により粒径20 μm未満土壌を分離し,SEM-EDS(JSM-6510A)によって観察した。 黒ボク土10 gに対してFeCl2・4H2Oを4.5 mmol, NaOHを9.0 mmol添加した際の加熱土壌中75 μm未満土壌の回収率(目標回収率)は86.7%となり,同量のFeSO4・7H2Oを添加した際の目標回収率は67.3%であった。有機物量の少ない真砂土によるFeSO4試験の結果,目標回収率は48.4%であった。真砂土では,磁着土壌中の20 μm未満土壌は残渣土壌と比較して約3.9倍多く含まれ,磁力選別による分級効果が得られた。一方,黒ボク土では,磁着土壌と残渣土壌に概ね同等の比率で20μm未満土壌が含まれ(磁着土壌中18.4%,残渣土壌中17.3%),20 μm未満土壌の分級効果は,一見するとほぼ得られないように思われた。それらの微小粒子に対しSEM-EDSを用いて検討したところ,他の分級画分に比較して炭素が多く含まれることが判明した。そのため,250℃の焼成温度では,土壌に含まれる有機物は炭化し,それが土壌の無機微粒子に対してバインダーとして作用したことが考えられた。ただし,物理的破砕(混合など)により微細化できる強度であることも判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
本技術は土壌を薬剤溶液に含浸させる手法では,乾燥及び磁性体生成に過剰な加熱が必要といった課題が存在する。よって,より省資源な土壌分級を目標に薬剤スプレー噴霧方式での土壌分級技術の開発を目指し,砂状土壌である真砂土を用いて検討した。GSIクレオス社製のスプレーを用い,エアー量調整ネジA,噴射範囲調節用ネジBを調整し,それぞれの最適値を求めた。以下に一例を示す。約6 mL(最大容量7 mL)の蒸留水を加え,噴射時間を30秒間とした。次いで,ネジBの角度を固定した上でネジAの開閉角度を180°~1080°間で180°毎に回転させ,10 mL容メスシリンダーに噴射し,蒸留水の噴射量を測定した。次に,ネジAの角度を900°,噴射距離20 cm,及び噴射時間10秒とし,ネジBの角度を180°~1080°間でコピー用紙に噴射した。5×10 mm区画に直径0.1 mm以上の液滴が3滴以上存在する場合を円とし,その直径を噴射範囲とした。溶液の噴射量を検討した結果,ネジAの回転角度が540°以上のとき,蒸留水の噴射量が4.2 mL付近で一定となった。次いで,回転角度の増加に伴って円の直径が3.8 cmから21 cmに増大し,噴射範囲の広がりが確認された。次に,溶液の噴射範囲による噴射量変化を計測した結果,720°以上のとき,噴射量は4.2 mL付近で一定となった。 最終年度は,ここで最適化した噴霧条件下における磁選効果もまとめる予定である。
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Research Products
(6 results)