2021 Fiscal Year Annual Research Report
発電型廃水処理の実現を可能とする低コストで超高性能なエアカソードの創出
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20H04369
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
廣岡 佳弥子 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (10555098)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微生物燃料電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、カソード内部の親水性を向上させるために、PTFEよりも親水性が高い結着剤であるNafionやPVAを触媒混合物に添加した。Nafionの添加量が添加したPTFEの1割未満の場合は、PTFEのみと比較してカソードの酸素還元性能は同程度となり、添加量が多くなると性能が低下した。PTFEと等量のPVAを添加した場合、PTFEのみと比較してわずかに性能が向上した。また、PTFEとNafion、PTFEとPVAいずれの組み合わせにおいても、作成工程における結着剤の添加の順番が酸素還元性能に影響を与えた。すなわち、同じ材料構成でもPTFEを先に添加した方が性能が向上した。一方、触媒混合物を基材にプレスし触媒層を形成した後のカソードに、プラズマ処理またはマイクロバブル処理を行うことによって親水性を高めることも試みた。液滴との接触角を測定することにより、どちらの処理でもカソード表面の親水性が向上したことを確認したが、酸素還元性能は向上しなかった。 また、液体窒素で凍結させたカソードを切断し、断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより、カソード内部の空隙や材料の混合具合の均一性を調べた。材料の混合状態は撹拌条件により変化し、撹拌時間を減らすことでカソード内部に25~50μmの空隙が生じ、漏水量が増加した。また、混合強度を向上させ、混合時間を増やすことで、内部のPTFE粒子の繊維化が進んだ。一方、自転公転ミキサーによる混合の後でもPTFE粒子はカソード内部である程度凝集して存在しており、均一に分散していなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度試した結着剤では、PTFE単独での使用に比べて大幅にカソード性能を向上させる作成条件を見いだせなかった。そのため「やや遅れている」と評価した。しかし一方で、カソード内部の触媒粉末や結着剤の分散状態や、作成工程の順番が性能に与える影響など、今後の研究の展開に寄与する新たな知見も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
カソードへの酸素供給性と水供給性を両立し、酸素還元性能を向上させる新たな結着剤の探索を行う。結着剤添加時の濃度や結着剤粒子の状態、複数の結着剤を用いる場合は添加の順番の検討も行う。また、カソード内部で触媒粉末や結着剤を均一に分散させる混合方法を見出す。さらに、PTFEの繊維化がカソード性能に与える影響を明らかにする。
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