2020 Fiscal Year Annual Research Report
海鳥類の繁殖成績を決定する内的要因と人間活動の影響を評価する包括的モデルの開発
Project/Area Number |
20H04374
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄子 晶子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30792080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40413918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャリーオーバー効果 / 海鳥 / 操作実験 / ミツユビカモメ / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
繁殖にかかる親から子への投資量との相互作用により、繁殖中に受けた影響が非繁殖期の行動を変化させ、その後の繁殖成績を大きく左右すると考えられるが、キャリーオーバー効果についての研究は少なく、詳細は明らかにされていない。そこで、本研究では繁殖投資量を人為的に操作する実験を行い、海鳥類の繁殖成績決定メカニズムを解明することを目的としている。初年度である2020年度は,アメリカ合衆国アラスカ州に位置するミドルトン島で繁殖するミツユビカモメを対象に操作実験をするための野外調査を計画していた。ミドルトン島には旧レーダー監視塔を改造してミツユビカモメの人工営巣地を創出しており,そこで繁殖する親鳥と雛への人工給餌が長年に渡り継続されている。これは絶滅が危惧されるミツユビカモメの個体群保全と個体群モニタリングを目的として実施されているものであるが,本研究ではこのシステムを利用して人工給餌が可能な個体群を対象として,繁殖投資量を変化させてキャリーオーバー効果を検証する実験を実施した。初年度は生理的指標である酸化ストレスやテロメア長測定のベースラインを収集するとともに,年齢がわかっているペアにおいて繁殖モニタリングを行った。その結果,繁殖投資量を高くした実験群,繁殖投資量を低くした実験群,実験群と同様にハンドリングは行うが繁殖投資量の操作は行わない対照群のそれぞれ30ペアの雌雄それぞれにジオロケ-ターを装着した。野外調査後に予定していた酸化ストレス分析とテロメア長測定は部品供給・調達の停滞により進行が約半年遅れたが,分析時期や項目を変更するなど柔軟に対応することで最終的には目的は達成できた。さらに,繁殖モニタリングによるデータ解析を実施したところ,各実験群間において酸化ストレスやテロメア長には違いが見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は野外調査を実施する予定であったが,新型コロナウイルス感染症の影響により調査地のある米国ヘア渡航できなかった。しかし,国際共同研究者の支援により,野外調査データを収集することはできた。日本チームで実施する予定であった野外調査が実施できなかったことから,(3)やや遅れている。としたが,データ収集とその後の化学分析は終えることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)前年に装着したジオロケーターの回収及び,2)操作実験により非繁殖期の行動やその後の繁殖成績がどのように変化したのか,3)繁殖投資量を変化させることで生理的指標(酸化ストレスとテロメア長測定)がどのように変化したかを検証する。
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Research Products
(3 results)