2021 Fiscal Year Annual Research Report
海鳥類の繁殖成績を決定する内的要因と人間活動の影響を評価する包括的モデルの開発
Project/Area Number |
20H04374
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
庄子 晶子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30792080)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新妻 靖章 名城大学, 農学部, 教授 (00387763)
高橋 晃周 国立極地研究所, 研究教育系, 准教授 (40413918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | キャリーオーバー効果 / 海鳥 / 操作実験 / ミツユビカモメ / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,2020年度にミツユビカモメ親鳥に装着したMigrate社製のGeolocatorの回収を行うために実施した野外調査において,各実験群より移動や行動を調べるためのロガーデータの回収と体組織収集を実施した。しかし,2020年度に続き,2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響により渡航ができなかった。このため,国際共同研究者の支援を受けてデータ収集を実施した。野外調査ではジオロケーターの回収と採血を行った。野外調査により得られたジオロケーターのデータから,利用海域や中継地の利用,海上の行動パターンについて解析を行った。照度データから推定される日毎の緯度経度の情報から,機械学習を用いて個体レベルで移動ルートやくねり度を検証し,採食地や採食エネルギーを推定をした。行動パターンの蓄積度を操作実験毎に比較したところ,人工給餌を受けた実験群とそれ以外の実験群ではパターンが異なり,これは繁殖の体力回復が大きく必要である繁殖投資量が高かった個体群や対照群とは異なる動きを見せたのだと考えられる。さらに,血液試料を用いて血漿からは酸化ストレス分析,残りはテロメア長分析に用いて分析を行った。この結果,酸化ストレスやテロメア長の変化にはクリアなパターンがみられなかった。これらの結果から,キャリーオーバー効果が影響して変化されるのは行動であり,生理的指標には変化はないことが結論付けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,野外調査により回収したジオロケーターと血中酸化ストレス測定とテロメア長測定を実施しており,予定通りに進めることができた。ジオロケーターの回収率も高く,試料収集も問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
野外個体を用いて検証しているため,キャリーオーバー効果には年変動があることが予想される。このため,来年度は本年度の実験を繰り返すことで,変動する海洋環境にどのように応答するのか,キャリーオーバー効果が個体群動態に及ぼす影響を検証する。
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Research Products
(3 results)