2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reconstructing the geographies by movement of people: Nepal area studies beyond national borders of Nepal
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20H04410
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
森本 泉 明治学院大学, 国際学部, 教授 (20339576)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 雅子 上智大学, 総合グローバル学部, 教授 (00591843)
佐藤 斉華 帝京大学, 文学部, 教授 (10349300)
SHRESTHA TINA 早稲田大学, 高等研究所, 講師(任期付) (10832470)
藤倉 康子 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 連携研究員 (20773782)
名和 克郎 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (30323637)
橘 健一 立命館大学, 政策科学部, 非常勤講師 (30401425)
南 真木人 国立民族学博物館, 学術資源研究開発センター, 准教授 (40239314)
高田 峰夫 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80258277)
藤倉 達郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (80419449)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ネパール / 移動 / 移民 / COVID-19 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、世界各国に展開するネパール人社会と、彼/彼女たちの出身地を移動の過程と移民が繋ぐ複数社会の相互連関に着目して接合し、地理的領域としてのネパールを越えるネパール地域研究を実践すると同時に、移動が常態化した21世紀に適した地域研究のあり方を提起することであった。この目的のために、まず移民送り出し国となったネパールを起点に、日本を含む世界各地に展開するネパール人社会を対象に現地調査を実施し、ネパール移民の移動過程とその実態を把握することが不可欠であった。しかし、COVID-19感染拡大防止のための移動規制によりネパール人移民の移動も制限され、我々の研究目的の移動もかなわなかった。 この事態を受けて、2020年4月に開催した第1回研究集会で研究目的や研究計画を再考し、問題意識を共有した。具体的には、COVID-19の感染拡大という事態が移動現象や移民の暮らしに突如甚大な影響を与えたことにより、これまで移動が常態化していた移動・移民の社会がいかに変容したのか、移動自体がいかに変容したのかを解明し、変化に伴う移民を包摂する社会変容にも注視することにした。こうした問題関心に基づき、主に文献・統計資料調査を進めた。 他方で、本研究のもう一つの柱である日本における在留ネパール人に着目し、COVID-19感染拡大以前までのネパール人社会の実態に加え、COVID-19の影響やそれに付随する問題を解明するために調査を実施した。2021年2月に第2回研究集会を開催し、代表者森本が日本におけるネパール移民研究の動向を整理して課題を提起し、次年度に在留ネパール人に対する理解促進のために一般読者を対象に研究成果をまとめ、情報発信することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1回研究集会(2020年4月)の時点で想定したよりも移動規制が厳しく、長く続いたことにより、現地調査の準備期間とし、文献・資料調査を進めることになった。可能な範囲でオンラインによる調査を試みたものの、予定していた現地調査を実施することができず、調査費用に充てていた予算のほとんど全てを翌年に繰り越すことになった。2021年度に国内での調査が、2022年度になってようやく国外調査が可能になり、2020年度に仕切り直して計画した調査を遂行することができた。以上より、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究計画は、本研究計画を構想した際に予期していなかったCOVID-19感染拡大防止のための移動規制により、現地調査の時期や方法、研究対象を大幅に変更せざるを得なくなった。COVID-19による影響により現地調査が実施できず、研究計画の大幅変更を迫られたのは本研究のみではないだろうが、移動を研究対象とする本研究では、移動が止められた時、移動による影響がその不在によって顕在化した部分もあり、同時に移動を伴う現地調査を前提としてきた地域研究のあり方についても再考する契機となった。移動が制限されたことで国内に軸足を置き、調査を行った研究成果は、2021年度中に発表することになった。 2020年度の研究計画の遂行には困難が多かったが、ここで得られた成果は、本研究全体を総括する過程で基盤となる議論となり、今後参照していく予定である。
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