2020 Fiscal Year Annual Research Report
Re-evaluating African history through the study of ornament culture
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20H04414
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
池谷 和信 国立民族学博物館, 人類文明誌研究部, 教授 (10211723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 美佳子 上智大学, 総合グローバル学部, 助教 (20722466)
中村 香子 東洋大学, 国際学部, 准教授 (60467420)
鈴木 英明 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (80626317)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ビーズ / 交易 / アフリカ史 / ガラス / タカラガイ |
Outline of Annual Research Achievements |
サハラ以南のアフリカにおけるビーズの歴史は、人類史、ホモ・サピエンス史、アフリカ史のように時間や空間スケールの異なるなかで位置づけることが必要である。本年度は、イタリアのフィレンツェ大学の人類学・民族学研究の査読付き学術雑誌(Archivio per l’Antropologia e la Ethnologia)にビーズ研究に関する英語論文を掲載できた。 この論文では、世界のビーズやアフリカのビーズの歴史をホモ・サピエンス史の視点から把握する際の研究枠組みが提示された。世界各地のビーズは、素材や色や光沢、それを使用する家族や地域社会のなかでの役割、ビーズを交易品としてみなした場合の地域間のネットワークの3つの視点から把握する必要があることが指摘された。 また、コロナ禍のためにアフリカの狩猟採集民や牧畜民などの装身具に関する現地調査ができなかったので、すでに現地調査を終えている東南アジアの狩猟採集民(マレー半島のマニの移動集団)の装身具に関わる英語論文を刊行した。この社会では、これまで報告されてきたアフリカの諸社会のようにガラスビーズやタカラガイのビーズが導入されておらず、一部プラスチック製のものはあったが、動物の骨や植物の実などの自然資源に由来する素材が主に利用されていた。ここでは、どうしてガラスビーズが導入されないのか、興味深い研究テーマである。 本年度には、本研究のテーマであるアフリカの装飾文化の歴史は、アジアのそれとの比較をとおして理解できることが明らかになった。その結果、外部からガラスビーズが大量にアフリカで利用されてきた点がアフリカンビーズ文化の特性ではないかと考えるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍のために予定していたアフリカ各地での現地調査はできなかった。しかしながら、アフリカの装飾文化の研究に関する文献を広く集めて、最新研究の傾向については、メンバー間で共有することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、近現代のアフリカの社会を主に対象にしているが、近年、前近代や先史のビーズ研究が盛んであり、これらの動向も無視できないことがわかったので、広い視野での研究の進展が必要である。
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