2021 Fiscal Year Annual Research Report
Action Research on Mental Health Care in Sierra Leone
Project/Area Number |
20H04431
|
Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
落合 雄彦 龍谷大学, 法学部, 教授 (30296305)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金田 知子 神戸女学院大学, 文学部, 教授 (10351850)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | シエラレオネ / 精神保健 / メンタルヘルス / 当事者 / エンパワメント / アフリカ / 家族 / セルフヘルプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、精神障害当事者・家族のセルフヘルプやエンパワメントに関するこれまでの日本の豊かな知見や実践を適宜援用することで、シエラレオネで萌芽したばかりの精神障害当事者・家族によるセルフヘルプと組織化の動きを支援し、いわばその「開花」を側面から手助けせんとする、学術的かつ実践的な試みにほかならない。具体的には、同国の首都フリータウンで2014年に発足した当事者・家族会との全面的な協力関係のもとで、「実践(アクション)」と「研究(リサーチ)」を融合したアクションリサーチを実施し、現在の当事者・家族会の課題を明確化するとともに、その解決を図る。また、日本の「当事者研究」や「家族心理教育」の理念や手法などを適宜活用しつつ、シエラレオネにおける当事者・家族主体の持続可能なコミュニティベースのメンタルヘルスケアシステムの構築を目指す。 しかし、本研究課題では、当初予定していたシエラレオネでの現地調査がコロナ禍のため実施できなかった。そこで当該年度(2021年度)については、研究費の繰り越しをした上で、2022年度にシエラレオネ現地調査を初めて実施した。同調査では、シエラレオネ精神科病院を再訪するとともに、かつて同病院に長期入院し、現在はその近隣で生活しているシエラレオネ人女性精神障害当事者A氏と再会し、同当事者および家族への半構造化インタビュー調査を集中的に実施することができた。この結果、シエラレオネ人精神障害当事者・家族が直面する課題がある程度明らかになるとともに、同当事者のライフヒストリーを多面的に聞き取り調査することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題では毎年度、シエラレオネでの現地調査を実施する予定であった。しかし、コロナ禍で複数年度にわたって現地調査が実施できない状況に陥った。当該年度(2021年度)については予算を繰り越した上で、2022年度にシエラレオネ現地調査を初めて実施した。しかし、同調査で収集できた情報は限定的であり、シエラレオネでの情報収集には依然として大幅な遅れが生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍で研究が大幅に遅延しているため、当初の研究目的は達成できない可能性があるが、シエラレオネでの現地調査の期間を延長したり複数回渡航したりするなどして可能な限り研究作業を進捗させるように努力したい。具体的には、最終年度となる2023年度には9月と3月にシエラレオネに渡航し、「当事者」と「家族」に焦点をあてた現地調査を引き続き実施する。調査地はフリータウンであり、「当事者」に関しては、①当事者・家族会に参加する当事者の基本属性(年齢、性別、民族)、②診断名、③家族構成、④成育歴、⑤病歴、⑥生活、⑦ニーズ、⑧ストレングス、⑨将来の希望、⑩当事者・家族会への期待など、について聞き取り調査を行う。他方、「家族」に関しては、①当事者に対して日常生活レベルの支援を行っている家族が直面する困難やニーズ、②当事者・家族会への期待などについて情報を収集する。また、「当事者・家族会」の組織に焦点を当てた現地調査も実施する。具体的には、精神障害当事者・家族会の組織運営に関する情報収集を行うとともに、定例ミーティングに参加して参与観察を行うほか、過去の活動記録や会運営のサポートをしているNGOスタッフなどへの聞き取り調査も実施する。
|
Research Products
(4 results)